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オフィス家具メーカーのサブスク型サービス業転換

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JNEWS会員配信日 2022/4/24

 欧州のメーカー企業では、環境問題に配慮して製品寿命を延ばすことと、長期的な利益を確保することの両立を目的として、従来の販売モデルを見直す動きが加速してきている。

欧州を拠点として中東、アジアなど25ヶ国に営業拠点を持つオフィス家具メーカーのAhrend社(アーレンド)は、法人顧客に対して希望のデスク、チェア、パーティーションなどをセットで提供して、「家具の使用料」を月額固定料金で請求する「Furniture As A Service (FAAS) 」モデルを開発している。

これまでにも、企業がデスクやチェアを導入する場合には、リース契約が活用されてきたが、これはリース会社が販売業者から家具を調達して、企業に貸与する方式になっており、5~10年のリース期間の終了後は大半が廃棄されてしまう。
また、リース契約には金利がかかるため、現金購入よりも総支払い額では割高になってしまう欠点があった。

《従来型のリース契約》

一方、Ahrend社のFAASモデルでは、製品の所有権は同社が保有したまま、希望のデスクやチェアをレンタルする。契約期間は最低2年間で、それ以降は返却しても良いし、割引された月額料金で使い続けることもできる。定期的なメンテナンスや修理はAhrend社のサービスマンが行うが、その費用も月額料金に含まれているため、製品の寿命を延ばせる利点もある。

レンタルする月額料金の設定には、返却後に再利用できる家具の残価が考慮されているため、現金購入やリース契約よりも総支払額では割安になる。たとえば、オフィス家具のセットを45,000ユーロ(約625万円)で現金購入する場合には、輸送費や設置費用などを含めた総支払い額は50,500ユーロ(約700万円)になるが、FAASのレンタル料金は月額736ユーロ(約10万円)に設定されて、5年間でみた総支払い額は44,160ユーロ(約613万円)で、およそ87万円安くなる。

コロナ禍以降は、企業のオフィスを通勤とテレワークの両方に対応したハイブリッド型に大幅リニューアルするニーズが増えているが、オフィス内で使用する家具の数や仕様に応じて「使用料を払う」方式であれば、従業員の変動やワークスタイルの変化に対しても、柔軟に対応することが可能だ。

Ahrend Furniture As A Service (FAAS)

販売からFAASモデルへの転換では、これまでのように「製品を短期で買い換えてもらう」よりも、「同じ製品を長期で使い続けてもらう」ほうが、事業の採算性は高くなる。そのため、Ahrend社はレンタルする各製品にQRコードを付与して使用期間の管理をしやすくすることや、定期的なメンテナンスによる部品交換や修理ができる体制も整えている。

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