仕事とバカンスを兼用するワーケーション施設の開発
日本や米国と比べると、欧州は有給休暇の取得日数が多くて、英国、フランス、ドイツ、スペインなどでは、有休消化率がほぼ100%となっている。ドイツには「連邦休暇法」という法律があり、労働者には病気休暇とは別に、1年に24日以上の有給休暇を取得する権利が与えられている。企業がこのルールに従わなかった場合には罰則が与えられるため、有給休暇の消化率が高いのだ。
そのため、欧州では長期休暇向けのリゾート施設が多数開発されている。近年はリモートワークの形態が普及したことから、休暇中でも必要に応じて仕事ができる環境が用意された、ワーケーション対応の施設が人気となっている。
スペイン・カナリア諸島のテネリフェ島にある「Coworking in the Sun」はその一つで、自然豊かな環境の中にあるワーケーション施設として経営されている。

テネリフェ島は、1年を通して温暖な気候が安定しおり、世界遺産にも登録されているテイデ火山や、マリンレジャーが楽しめるビーチやテーマパークもあるため、スペイン本土からの他にも、英国、ドイツ、フランスから家族連れで長期休暇を楽しむリゾート地として人気が高い。
「Coworking in the Sun」は、リゾート地の中にあるコワーキングオフィスが主体の施設で、高速のネット回線、20席の共用デスク、ビデオ会議に対応した防音対応の個室ブース、ミーティングやセミナーも開催できる会議室が完備されている。
さらに、テネリフェ島で各種レジャーを楽しむためのオプショナルツアーの紹介、スペイン語のレッスン講座、他の旅行者との交流ができるバーベキューイベントなども定期的に開催しているのが、「仕事のみ」を目的とした都会のコワーキングオフィスとの違いである。Coworking in the Sunの利用体系は、現地に滞在する日数によって1日~12週間までの料金が設定されている。
■Coworking in the Sun
■現地の自然環境と施設の紹介映像
仕事とバケーションを兼ねたワーケーションは、柔軟な働き方を求めるフリーランスの中から生まれたスタイルだが、欧州では有給休暇取得の法制化に伴い、企業の福利厚生サービスとしても市場が拡大している。
これは、忙しい都会の日常から一時的に離れて、自分と向き合う時間を作る「リトリート休暇」の市場ともリンクしている。仕事のやり過ぎによる燃え尽き症候群(バーンアウト)やうつ病者の増加により、社員向けのメンタルヘルス対策が求められる中、リトリート休暇を定期的に与える企業は増えてきている。リトリート(retreat)は、都会からの避難や隠れ家を意味している。
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