脱炭素社会で変化する仮想通貨の動向と技術トレンド
金融業界では、気候変動が暗号資産(仮想通貨)に与える影響も取り沙汰されいる。仮想通貨の運用には、世界に分散されたコンピュータのネットワークを作る必要があり、それらを合算すれば膨大な電力が使われている。ケンブリッジ大学の分析によると、ビットコインの運用にかかる年間の消費電力は、116.78テラワット時(TWh)と算定されて、これはオランダやフィリピンなど小規模な国全体の消費電力を上回っている。また、米国にある家庭用テレビの総数よりも、ビットコインは約2倍の電力を使っている。
■Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Index (CBECI)
そのため、金融機関や企業がビットコインに投資することについては、CO2排出量を算定するカーボン会計の面から問題があり、大口の機関投資家が購入を避ければ、取引相場の下落要因になることが指摘されている。今後は、仮想通貨の分野でも、消費電力を低くする技術革新が求められるようになり、それに対応できる通貨の価値が上昇していくという予測もある。
仮想通貨として、ビットコインの次に時価総額が大きなイーサリアムの開発をするイーサリアム財団では、ブロックチェーン上に取引データを格納するブロック生成のアルゴリズムを変更した「イーサリアム2.0」への移行を計画しており、それによって消費電力は、現在の99.95%以下に抑えられることを発表している。
■イーサリアム財団(日本語)
仮想通貨は、取引量が増えるほどネットワークが混雑して送金の遅延が起きやすく、送金コストが高くなる特性がある。そのため仕様が古いコインは、送金時間が短い新型コインへとバージョンアップする「ハードフォーク」が頻繁に起きるようになっている。ハードフォークの方法には、旧コインから新コインへとアップグレードするものと、開発チーム内の意見が対立して、新旧2種類のコインに分裂するタイプがある。
性能面からみた仮想通貨の実力は、ハードフォークを繰り返すほど高くなる。分裂して誕生するタイプの新コインは、基本的に旧コインと同じ機能を引き継いでいる。まだ知名度が低いため、旧コインよりも安値で取引されるケースが多いが、盗難防止のセキュリティや送金面の性能は高く、消費電力は低くなるように設計されている。企業が国際送金や売買契約のツールとして保有するのであれば、コインの調達コストが安いことと、カーボン会計の面からも、消費電力が低い新型コインのほうが都合が良く、今後の実需が伸びていく可能性がある。
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