チャリティNFTオークションによる慈善団体の資金調達
暗号通貨は、チャリティー活動との相性も良く、非営利の慈善団体が資金調達をする方法としても活用されはじめている。これは、クラウドファンディングに代わる資金調達の方法としても注目されている。
2018年に設立された「The Giving Block」は、非営利団体が暗号通貨による寄付を受け入れるための決済プラットフォームで、200以上の団体が活用して2021年には1200万ドル相当の暗号通貨による寄付が集まっている。米国では、暗号通貨で寄付をすると、キャピタルゲインが控除される税制上のメリットがあるため、2021の上昇相場では、暗号通貨による寄付が急速に伸びた。Giving Blockの報告によると、暗号投資家はとても慈善的で、全体の45%が1000ドル以上の寄付をしている。これは、一般投資家が寄付をする割合(33%)よりも高い。
そのため、慈善団体が暗号通貨で寄付を受け付ける窓口をwebサイトに設置することの他に、NFTアートによるチャリティオークションで資金調達をする方法も考案されている。これは、慈善団体がデジタルアートを制作するアーティストと提携して、数量限定のNFTアートをオークションにかけて得られた売上金を分配するものだ。
NFTアートは、オークションで落札された一次売上だけでなく、落札後に転売される二次売上から得られるロイヤリティも、寄付収入にすることができるのが特徴だ。慈善団体とアーティストとの間で、どんな収益配分にするのかは、ケースバイケースで決められる。
具体例として、環境破壊や社会問題を風刺的に描くデジタルアーティストのBeeple(マイク・ウィンケルマン氏)は、自分の作品を無償寄付するという形で、気候変動対策のオープンソース技術を開発する団体「Open Earth Foundation」の資金調達に協力した。Beepleの作品はオークションにかけられて、600万ドルで落札された。
■Open Earth Foundation
■Beeple
また、2021年5月からスタートした「DoinGud」は、デジタルアートの制作者が作品をNFT化して販売するためのマーケットプレイスだが、作品から得られる一次収入と二次収入の最低5%以上を、環境、貧困、差別などの社会問題の解決に取り組む、自分が支援したい非営利団体に対して自動的に寄付できる仕組みになっている。一般的な寄付行為は、自分の利益獲得とは相反する行為になるが、DoinGudはクリエイターが「自分の利益」と「寄付による社会貢献」を両立できる仕組みとして開発されている。
DoinGudで販売できる作品は、デジタルアートの他に、音楽、写真、その他のデジタルコンテンツにも対応しており、最大200名までのクリエイターが共同制作した作品を販売して、指定したパーセンテージで一次収入と二次ロイヤリティを分配することもできる。
企業にとっても、社内のコンテンツを活用してチャリティNFTを発行することは有意義な社会貢献となり、ブランドイメージの向上に役立てることができる。自動車メーカーのポルシェは、エクステリアデザイン責任者であるペーターヴァルガ氏が、新型EVのタイカン・クロスツーリスモと、伝統的な911モデルを組み合わせて描いたフリーハンドスケッチとNFTとリンクさせて、2021年8月2日からの6日間で、オークションに出品した。この作品は約90,000ドルで落札されたが、その収益は、貧困国で清潔な飲料水インフラを整備する非営利団体の「Viva con Agua」に全額寄付されている。

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