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ブロックチェーンによるコーヒー取引とブランド構築

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JNEWS会員配信日 2022/3/30

 食品の流通経路では、産地偽装、消費期限の改ざん、従来の方法で栽培された野菜や果物を「オーガニック」と表記する、廃棄食品の横流しなど、様々な不正取引が行われてきた実態がある。法律に抵触することが明らかな不正の他にも、グレーゾーンの中で商慣習として行われてきた産地偽装などは、各所に潜んでいる。

具体例として、ハワイのコナ地区にあるコーヒー農家のグループは、19社のコーヒー豆メーカーと、ウォルマート、コストコ、アマゾンなど米国大手の販売業者に対する集団訴訟を2019年に起こしている。「コナコーヒー」は、ハワイ州政府の審査を受けて厳選されたコーヒー豆の品種を使い、コナ地区で栽培されたものに限定されており、その出荷量は年間およそ1200トンに留まっている。

しかし、全米で「コナコーヒー」のラベル表記で販売されている商品は、年間9000トンを上回っている。その中では、コナ産の豆が全く含まれていないか、ごく少量しかブレンドされていないもの多数出回っていることが、成分分析から明らかになっている。コーヒーの商品価値は、豆の原産地や栽培方法などによって決まるため、内容とは異なるラベル表示で高い商品を売ることは、消費者を欺く行為になる。

こうした問題の解決には、ブロックチェーン上で原材料の生産、加工、流通、販売までの経路を記録するトレーサビリティシステムの構築が注目されている。

2019年にスイスで創業した「Farmer Connect」は、その実現を目指しているスタートアップで、コーヒー豆の産地、栽培方法、ブレンドの詳細、流通過程などを商品パッケージに記載されているQRコードから消費者が追跡できるようにしている。トレーサビリティにブロックチェーンを活用する理由は、記録された情報の透明性が高く、業者の改ざんを見破りやすいことと、システムの構築が容易に行える点にある。Farmer Connectには、IBMが開発した「IBMブロックチェーン」が採用されている。

Farmer Connect

コロンビアのコーヒー生産者連盟(FNC)では、Farmer Connectのトレーサビリティシステムを活用した認証商品の開発を行っている。「1850」というブランドで販売されるコロンビア産コーヒー豆100%の商品には、パッケージに記載されたQRコードから、コーヒー豆が生産された農場、焙煎工場などを確認することができる。このように、生産地認証された商品を消費者が適正価格で購入することは、現地の生産者が正当な報酬を得るためのフェアトレードにも役立っている。

1850 Coffee
■1850トレーサビリティの紹介映像

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