高級ブランド品の真贋を自動判定できる鑑定システムは、質屋や買取専門店からのニーズが高く、潜在的な市場規模が非常に大きい。鑑定システムの急所は、偽品の実物をできるだけ多く収集して、独自の画像判定データベースを構築することにある。
ブランド資産を守るプロテクションテクノロジー

JNEWS会員配信日 2018/3/15

 ブランドメーカーの知的財産を守る技術は「ブランドプロテクション」と呼ばれ、年率10~20%の成長ペースで市場が拡大している。背景にあるのは、製造業のサプライチェーンが中国、アジアを中心に世界へ広がっていることだ。生産工程の各所から製造ノウハウの漏洩が起きて、偽造品が出回りやすくなっている。
有名ブランドの高級品が、これからも“資産”としての価値を守っていけるか否かは、ブランドプロテクションの技術動向によっても変わってくる。

 ブランド品の中でも、エルメス、ルイ・ヴィトン、シャネルなどの高級バッグは、特に偽物が出回りやすい。しかし、各ブランドメーカーでは正規ルート以外の販売業者は認めていないため、真贋の判定ノウハウも提供されていない。

そのため質屋、中古販売店、買取り専門店などは、独自の鑑定ノウハウを磨くしかない。本物と判断して買い取ったブランドバッグが、じつは偽物だった場合には、店側の損失になってしまう。そこで、鑑定士のスキルに頼るだけでなく、さらに正確な鑑定ができるシステムが現場で求められている。

そこに着目した鑑定システムを開発しているのが、米ニューヨークで2012年に創業した新興企業の「Entrupy」で、中古業者がブランド品を買い取る際に、スマートフォンに Wi-Fiで接続したマイクロスコープを鑑定品にあて、革の表面や、縫い目などの細部を顕微鏡のように写すことで自動鑑定ができるデバイスを開発している。

この技術は、Entrupy側のデータベースに偽物の特徴を記録した膨大な画像がデータベース化されており、デバイスのカメラを通して撮影された映像と照合して真贋を判定する方式になっている。システムは機械学習のアルゴリズムによって偽物の特徴を学習していくため、鑑定の回数を重ねるほど、判定結果の精度は高くなっていく。いまのところ、ルイ・ヴィトンやシャネル、エルメスなど15の高級ブランド品に対応しているが、画像データベースを充実させていくことで、鑑定できるブランド品の種類は増やしていくことが可能だ。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

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