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中国人の所得階層と日本へ向かう大衆富裕層の特性

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JNEWS会員配信日 2024/3/1

 日本の1人あたりの名目国内総生産(GDP)は3万4000ドルであるのに対して、中国1人あたりGDPは、2022年の統計値では8万976元と報告されている。現在の為替レートで換算すると1万1200ドルとなり、日本よりもまだ低いが、1億円以上の純資産を持つ中国人富裕層は約1400万人と推定されており、日本の富裕層世帯(149万件)よりも多いのだ。

さらに純資産が2500万~1億円未満の層は、中国で「大衆富裕層」と呼ばれて、1億人以上に増えていることが、日本のインバウンド景気にも好影響を与えている。
大衆富裕層は、世代的にも若く、30代~40代が中心となっているため海外旅行にも積極的である。

《中国の所得構造(2020年)円換算》

中国政府は、3人家族で年収10万~50万元(約200万~1000万円)の世帯を、生活に困らない中間所得世帯と位置付けているが、大手ハイテク系企業に勤めるエンジニアや上級公務員は年収25万元(約500万円)以上を得て、レジャーを楽しめる余裕も出てくる。そこから投資も行うことで資産額を増やした「大衆富裕層」のクラスが増えている。

ただし、中国のエリート人材は、仕事に対するプレッシャーやストレスも大きく、規制が少ない海外生活には憧れを抱いている。現在の仕事を辞めて海外移住をしようとまでは思わなくても、自分の子どもには海外教育(留学)をさせたいと考える親はおよそ7割という調査結果が出ている。そのための視察として、家族で日本旅行を計画する大衆富裕層は増えている。日本を留学先と検討する理由は、世界でトップクラスの教育が受けられる中でも、欧米大学と比較して学費は3分の1程度と安いことと、中国から近いことがある。

日本の文部科学省の統計でも、外国人留学生の中で中国人は最も学生数が多い。
そのためインバンド観光の中でも、大学の見学や下見ができるツアープランは有意義なものになる。中国では、大都市に住むエリート世帯ほど「一人っ子」の割合が高く、平均で4割、上海では6割にもなる。彼らの中では、無理をしても子供の教育費にはお金をかけたいという価値観があり、中国学生の留学市場は今後も成長していく可能性が高い。

《日本への外国人留学生数(2022年)》

 中国人は、日本人と比べても投資に対しては積極的で、リスクを分散管理しながら資産を増やしていこうとする心理が強い。これは、中国内の政治情勢は複雑で銀行預金への不安があることと、オンライン投資の環境が充実してきたことがある。

中国オンライン投資プラットフォーの「友信智投(uSMART)」が2019年に行った調査では、600万元(約1億2000万円)までの投資余力を持つ投資家を「大衆富裕層」と定義しているが、損失を被っても生活に支障がないと考える投資可能額は、総資産額がまだ小さな投資家ほど高い割合で設定しており、総資産が100万元(約2000万円)までは80%を株式などに投じて、そこから資産額を増やしながら、投資比率を下げていく。

《中国大衆投資家の総資産額に対する投資可能額の設定状況》

大衆富裕層の中では、31%は海外資産を保有している。主な投資対象は不動産と株式だが、海外住宅の購入予算は平均では300万元(約6000万円)近くあり、賃貸による運用と、子供の留学先住居としても使えることを想定した購入地を考えている。米国、カナダ、オーストラリアは以前から人気国だが、円安メリットと留学候補地として、日本の注目度も高い。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・国内観光地で高騰するランチ価格
・中国人の所得階層とエリート人材の悩み
・中国で増加する大衆富裕層の投資特性
・日本食が贅沢品になる世界の食材需給
・中国人気で値上がりする日本食リスト
・中国富裕層に向けた高級品レーベルの開発
・百貨店売上から見る高級品需要の変化
・中国で人気化する日本製子ども用品の特徴
・デジタルノマドビザ導入によるインバウンド市場の変化

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