環境志向の高いDIYユーザーの中では、電気の自給自足を目指す「オフグリッド」のライフスタイルが注目されている。電力会社からの送電を受けずに、どこまでオフグリッド生活を実現できるかに挑戦することは、エコな趣味活動にもなっている (JNEWSについてトップページ
電気を自給自足するオフグリッドの新ライフスタイル

JNEWS
JNEWS会員配信日 2020/1/9

 環境問題に関心の高いDIYユーザーの中では、新たなエコロジー生活にチャレンジする動きも出てきている。その象徴的なスタイルが電気の自給自足をして、電力会社からの送電を受けない「オフグリッド生活」を目指すものだ。

電気を作ること自体は難しくなく、太陽光パネルとバッテリーがあれば実現することが可能。ただし、どこまでの規模でオフグリッドシステムを構築するのかによって、難易度は変わってくる。照明やエアコンのみをオフグリッドにすることからスタートして、最終的に家全体の電気を自給自足することが目標になるが、それを業者に任せるのではなく、DIYで工夫しながら行うことがオフグリッド生活の楽しみ方でもある。


日産キャンピングカーを活用したオフグリッド作業

※DIYで自宅の電気工事をするのも、火災事故を防ぐ理由から「電気工事士」の資格が必要になることが法律で定められている。ただし、電圧30V未満の電気設備については、無資格でも工事を行うことができる。それ以上の設備を扱う場合には、第二種電気工事士の資格を取得してDIY工事を行うことが、正しいオフグリッド生活の取り組み方になる。

ネット上では、オフグリッド愛好者のコミュニティが多数形成されるようになっており、YouTube上でもDIY工事の様子が紹介されている。こうした動きが出ている背景には、福島第一原発事故を教訓として、大手の電力会社に依存せずに、自立した生活ノウハウを習得しようとするライフスタイルが広がりはじめていることがある。

■電気代ゼロ円(オフグリッド)への挑戦動画

オフグリッドのトレンドは、田舎暮らし(移住)、アウトドアキャンプ、車中泊の市場ともリンクしており、自動車メーカーや家電メーカーなども新製品の開発テーマとして意識していくべきだろう。

日産の欧州部門が開発した「Nissan Energy ROAM」は、旧型リーフから回収されたバッテリーを再利用したアウトドア用の蓄電池で、700Whの充電容量と1kWの出力性能(100Wの電球10個分)がある。これとキャンピングカーに設置されたソーラーパネルを併用すると、電源設備の無い野外で約1週間のオフグリッド生活を楽しむことができる。

■日産オフグリッドキャンピングカー(動画)

また、オフグリッド生活を実行すると、家電製品にも新たなニーズが生まれてくる。通常、蓄電池に貯めた電気で家電製品を使うには、直流の電気をインバーターで交流に変換する必要があるが、そこで5~20%の電力損失が生じている。このロス率を解消するには、直流電力のまま利用できる家電製品(直流家電)を使うことが有効になる。

これまでにも、アウトドア用品として直流の湯沸器や炊飯器は発売されているが、家庭内で使うエアコンや冷蔵庫にも、直流製品ニーズは高まっている。その中でシャープが、蓄電池からの利用を想定した直流対応のエアコンを発売しているが、価格は14畳タイプのもので52万円、23畳タイプで69万円と、まだ高い。

DCハイブリッドエアコン(シャープ)

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