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国策として奨励される婚活アプリの業界構造と採算

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JNEWS会員配信日 2024/2/21

 昨今のコンプライアンスを重視する風潮は、人間関係にも変化を起こしている。
独身者の婚活についても、職場恋愛や合コンで相手を探すのは少数派となり、最近では婚活アプリを利用することが主流になっている。

リクルートが20~40代を対象に定期的に行っている「婚活実態調査」の2023年版によると、婚活サービスを通じて結婚した人の割合は、2000年は1.4%に過ぎなかったが、2020年には15.4%にまで伸びている。婚活サービスの内訳には、ネット系アプリ、婚活パーティ、結婚紹介所等があるが、ネット系アプリを利用して結婚する割合が顕著に高くなっている。

《婚活サービスを通じて結婚した人の割合》

婚活実態調査2023(リクルート)

実際のパートナー探しでは、知人の紹介、お見合い、趣味の場なども含めた複数のルートから理想の相手を探しているが、結婚に至った人の4割は、婚活マッチングアプリを利用した経験がある。現代では、マッチングアプリによる婚活が社会的にも認知されるようになってきた。

この背景には、婚活マッチングアプリの信頼性が向上してきたことがある。日本政府は、少子化社会対策会議(2006年)の中で婚活サービスの必要性を認めた上で、信頼できる業者の認証制度を業界に求めたことで、「結婚相手紹介サービス業認証機構(IMS)」が2009年に設立された。

IMSでは、登録者の本人確認、性的目的の利用が無いこと、料金体系、サイトのセキュリティなどの項目が審査されて、健全な婚活サービスを提供する事業者への「マル適マーク」が付与されるようになり、2023年時点ではネット系婚活サービスとして7社が認証を受けている。

IMS認証の婚活サービス

地域の自治体でも、少子化対策として婚活アプリとの提携をする動きが、2023年から加速している。2012年のサービス開始から累計会員数が2000万人を超す「Pairs(ペアーズ)」は、三重県桑名市、静岡県湖西市、北海道室蘭市、愛知県西尾市、宮崎県宮崎市などと連携協定を結んでおり、市内の独身者に対してPairsを活用した婚活方法を学べるセミナーの開催と、参加者に対してPairs利用クーポンの配布を行っている。

地方都市では、同じ地域に住む相手と結婚したいというニーズが高いが、近隣の男女が出会える機会は限られている。そこで自治体がPairsのマッチング機能を活用することで、同じ市内、隣接した市町村との間の出会いを推進することが連携協定の狙いである。岐阜県の例では、関市・美濃加茂市・各務原市の隣接した3市がPairsとの協定を結ぶことで会員登録を促し、50km~100km圏内のマッチング確率を高めようとしている。


また、累計会員数が900万人の「Omiai」では、地方都市の結婚支援とUターン、移住者誘致をセットにした協定モデルを作っている。島根県出雲市との提携例では、出雲出身者と出雲に関心のある20~30代の男女を対象とした「縁結びパーティー」を東京都内で企画して、参加者をOmiaiの会員ネットワークで募集している。

出雲に思い出や関心のある者同士が結婚に繋がれば、出雲に生活拠点を置く確率は高くなり、自治体にとっては複数のメリットがある。

このように、婚活マッチングアプリの信頼性は高まっており、アプリの利用を公言する形の婚活もスタンダードになりつつある。そこに向けては投資ファンドも注目しており、婚活アプリが買収の対象にもなっている。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・婚活アプリの採算構造について
・投資ファンドが着目するオンライン婚活業界
・自治体が導入するAI婚活システムの仕組み
・AI婚活システムの方向性と問題点
・孤独・孤立対策法に向けたプラットフォーム開発
・友達作りを支援する海外マッチングアプリ
・電話でヴァーチャルフレンドを作る公的システム
・リアルと仮想空間を行き来する人間関係と働き方
・孤独を癒やす仮想ガールフレンドとAIコンパニオン
・高齢者の孤独を癒やすセラピードッグの派遣ビジネス
・飲み会に代わる孤独解消のレクレーション開発

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