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EV時代に求められる出張整備サービスの仕組みと顧客層

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JNEWS会員配信日 2023/8/26

 米国では10年以上前から、自動車整備の出張サービスが登場して、整備工場の市場に食い込むようになっている。特筆すべきは、自動車メーカーも出張型の整備を重視しはじめていることである。この背景には、自動車のeコマース販売が進むことにより、ディーラー店舗の商圏から外れた地域の顧客にも対応できる整備ネットワークが必要になっていることがある。

ロサンゼルスを拠点として2019年に創業した「RepairSmith」は、メルセデス・ベンツのインキュベートプログラムによって生まれたオンデマンド整備サービスの会社で、現在では全米500以上の都市で、出張型の自動車整備と修理サービスを展開している。

出張整備のために専用開発されたミニバンには、故障の診断ツールと各種の交換部品が収納されており、必要な修理の90%は現地で対応することができる。対応できない修理については、提携している整備工場まで牽引して行う。

交換部品の価格は、車種と年式別にサイト上ですべて公開されており、顧客は、部品代と作業工賃(人件費)が記載された見積書を承認、代金決済がされた後に、交換作業が行われるため、作業終了後に追加料金が請求されることがない。たとえば、オイル交換(フィルター交換を含む)の作業は75ドルの見積金額で、激安というわけではないが、顧客が工場まで車両を持ち込む手間を考えると、妥当な金額と捉えられている。

RepairSmithの整備士は、請負業者ではなく正社員として雇用されているが、これは優秀な整備士を安定的に確保することが目的である。同社の料金設定では、整備士の作業工賃を1時間あたり約100ドルとして、整備士の時給単価は平均25ドルに設定しているが、マネージャー職に昇格すると45ドル/時にまで上昇する。

RepairSmith
■サービスの紹介映像

自動車販売会社にとっても、新たなメンテナンスサービスの形として出張整備のネットワークには価値を見出しており、2023年1月には新車と中古車で累計1200万台以上を販売する AutoNation社が RepairSmithを1億9000万ドルで買収した。

また、EVメーカーのTesla(テスラ)では、独自の出張整備ネットワークとして「Tesla mobile service」を米国で展開している。これは、ネット直販によるテスラ車の販売台数に対して、サービス拠点の増設が追いついていない状況に対応するもので、テスラの技術認定を受けた整備士が、テスラ車オーナーの自宅や職場に出張して整備を行う体制を拡大している。

EV時代の自動車整備士は、電装部品の交換を中心とした軽作業が増えるため、各EVメーカーが行う技術講習の合格認定を受けた後、出張型で整備を行う方式が増えていくことが予測されている。

■Tesla mobile serviceの紹介映像(CNET Cars)

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・米国で成長するオンデマンド整備サービス
・法人向けオンデマンド整備の需要開拓
・フリーランス整備士が変革する自動車整備業界
・規制緩和を求める日本の出張整備業界
・国内フリーランス整備士の就労状況
・修理権法で変革される製品メンテナンス市場
・IoT工具が実現させるリモートエンジニアの働き方
・整備を起点とした自動車ディーラーの収益構造

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