OpenAIが支援するAIスタートアップの事業テーマ着眼点
ChatGPTの活用についても様々な事業アイデアが考えられるが、それらの実現に向けてOpenAIは、1億ドルの資金で「OpenAI Startup Fund」というベンチャーファンドを2022年12月に立ち上げた。このファンドでは、有意義なAIサービスを立ち上げるスタートアップに対して、資金提供を行うと同時に、OpenAIのシステムと Microsoft Azureのクラウド環境を優先的に使えるようにして、技術的なサポートも行っていく。
ファンド立ち上げ時には、支援先として4社のスタートアップが発表された。それらの事業内容は以下のようなものである。いずれも、ChatGPTの学習データに新たな専門データや機能を追加することで、特定のユーザー層に向けた有料サブスクリプション型のビジネスモデルを目指しているが特徴である。
【法律事務所向けのAI支援サービス】
「Harvey」は、GPTの機能を法律業務に特化させたAIサービスで、弁護士のアシスタント役となり、調査や書類作成にかかる時間を軽減させることを目指している。
たとえば、弁護士が作成する契約書の条項が、各州の法律に違反していないかをHarveyがチェックして、問題点が見つかれば、該当箇所の書き直しまでを任せられるようにする。
HarveyのAIは、OpenAIのGPTシリーズが学習している知識に加えて、各州の法律や過去の判例などのデータを専門的に学習させており、法律事務所が担当している、特定の訴訟案件やクライアントのデータも追加学習させたチューニングも行えるようにする。Harvey AIの学習モデルは、ロースクールの卒業生と同等レベルになることを目指しており、ChatGPTの中では頻繁に見られる誤回答の発生率も、法律分野についてはゼロに近づけていくことも、開発上の課題テーマとしている。
【動画編集を自動化するAIサービス】
「Descript」は、YouTubeなどに投稿される動画とポッドキャスト用の音声コンテンツの編集作業を支援するAIサービスで、これまで編集者が行ってきた面倒な作業を自動化できる機能が各種開発されている。
Descriptによる動画編集では、AIが動画音声からの文字起こしを即時行い、テキスト化されたトランスクリプト(筆記録)に沿って、映像シーンのはめ込みや、音楽の挿入を行うことができる。また、動画収録の中で無意識に出てしまう「えーっと」「あの」「その」などの無駄な言葉(フィラーワード)を自動削除する機能もある。
さらに、出演者の声に酷似したクローン音声によるテキストの読み上げ機能により、ナレーションのオーバーダビングを行うこともできる。各出演者の声は事前に録音したストックボイスとして保存しておけるため、撮影した映像にナレーション原稿を入力をするだけでも、クオリティの高い動画に仕上げることが可能だ。
また、ポッドキャストの音声編集では、録音内容が自動テキスト化されたトランスクリプトをチェックして、強調したい文節や、削除したい部分をマークすると、音声データも不自然にならないように自動編集される。そのため、番組内の発言を訂正したい場合にも、再録音をせずにテキストで音声データを修正することができる。
Descriptは、2017年に創業したスタートアップで、1ユーザーあたり月額12~24ドルの有料サービスとして提供することで、事業を軌道に乗せている。創業当初は、音声データの編集サービスとしてスタートしたが、AIによるテキスト文字起こしの自動化により、さらに作業の効率化を進めて、動画編集の業界にも変革を起こそうとしている。
■Descript機能の紹介映像
■Descript
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