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Z世代の購買行動と高級品再販プラットフォームの採算

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JNEWS会員配信日 2022/11/3

The RealReal(TRR)は2011年の創業で、自社で時計、宝石、ブランド品などの鑑定士を雇用する形で高級品の委託販売ビジネスを展開している。同社の発表によると、現在は2400万人を超す会員顧客がいるが、その40%は安価なファストファッションを使い使い捨てるよりも、長年使える良い物を購入、再販していくことのほうが賢いと考えるようになった層である。

そうした価値観は、経済的に余裕のある20~30代に広がっており、1万ドルの腕時計を購入することは、自分には分不相応かもしれないが、将来的に値上がりをして売却時にプラスとなれば、安い時計を使い捨てていくよりも得であることに気付いた人達が、TRRの中でも主要な買い手になっている。投資目線でみると同じブランドでも、新品よりも中古品を買うほうが、値上がり率は高くなる。

このような買い物スタイルは、彼らの自己表現でもあり、ヴィンテージ品に対する欲求も強くなっている。シャネルが1980年代~2000年頃にかけて製造したショルダーバッグは、ヴィンテージとして若い女性からも人気が高まっており、程度の良いものは50~100万円で売買されている。シャネルのバッグは、昔からデザインがあまり変わらないため、現代でも使いやすい。

Z世代の中で起きているヴィンテージブームの発祥は、母親のクローゼットで眠っていたバッグを娘が持ち出したことと言われるが、ファッションの中にヴィンテージのアイテムを1つ取り入れることが、最近のお洒落になっている。ヴィンテージ品のニーズが高まることで、中古相場が上昇すれば、所有して数年後に売却しても損にはならないという感覚で、新たな愛好者が増えている。このような高額の中古バッグは、偽物も多く出回っているため、信頼できる業者を探して購入することが重要になる。

The RealRealは、月間に50万個を超す中古ブランド品を売買しており、鑑定士の大量採用に加えて、AIによる真贋判定も加えて偽物の排除をしている。それでも偽物の流入をゼロにすることは難しく、シャネルなどのブランドメーカーからは「自社の偽物商品を販売している」として、訴訟を起こされている。同社の決算は赤字の状態が続いているが、これは鑑定作業にかるコストが高いことが原因である。

その一方で、The RealRealを利用する顧客の80%以上はリピートしており、自分のコレクションを売却した顧客の57%は、その資金で新たな買い物をしている。
高級中古品の委託販売に対するニーズが高まっていることは間違いなく、この有望事業を、どのように黒字化していくのかを投資家は注目している。

The RealReal

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・割安感のある日本の高級中古品市場
・ヴィンテージギター投資の問題点
・成長する高級中古品の委託販売ビジネス
・ブランド品の委託から現金化までの流れ
・高級品投資にとっての手数料攻略
・新富裕層の新たな買い物スタイル
・動き始める高級品のインバウンド需要
・高級時計の越境コマースモデル
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・円安を追い風にしたスモール輸出ビジネス
・購買欲を刺激するノスタルジア消費の特性
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JNEWS LETTER 2022.11.3
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