疑似家族を形成する異世代ホームシェアの仲介ビジネス
海外でも単身高齢者の生活スタイルは色々なプランが試されている。孤独な生活を続けることはメンタルの不調にも繋がることから、独居よりも共同生活者を探すことが推奨されており、ハウスメイトを探せるサービスも登場してきている。
「New York Foundation for Senior Citizens(NYFSC)」は、1968年からニューヨークに住む高齢者の生活支援に取り組んでいる非営利団体で、現在は1200人のスタッフを雇用して、年間数万人規模の高齢ニューヨーカーに対して、住宅の紹介、買い物の代行、食事の準備、医療予約などのサービスを行っている。年間でおよそ1300万ドル(約16億円)の収益があるが、その内訳は寄付が55%、サービス収入が45%となっている。
その中でも無料で行われているのが、ホームシェアリングのパートナー探しを支援するサービスで、60歳以上の高齢者が「ホスト」となり、18歳以上の入居希望者を「ゲスト」として迎え入れる形のマッチングを行っている。
このホームシェアリングは、家賃を分担することよりも、高齢者の孤独や孤立を和らげることを主な目的としているため、広い家に住む高齢者が、大学生や仕事を探している若者に部屋を提供したり、同世代で相性の合う相手を探すことに注力されている。ホストは、ゲストに相場よりも安い家賃を設定することの条件として、家事の手伝いをしてもらう取り決めをしてもよい。
■New York Foundation for Senior Citizens(NYFSC)
【異世代ホームシェア仲介のビジネスモデル】
欧州でも、高齢者と若者が疑似家族として共に暮らす生活スタイルが「異世代ホームシェア」として注目されている。異世代の単身者同士が同居をすることは、高齢者の孤独と、若い世代の住宅問題を同時に解決することができ、災害時の安全対策としても有効なため、社会性の高いソーシャルビジネスとして成長してきている。
英国で運営される「Two Generations Homeshare」は、異世代ホームシェアリングのマッチングを有料で行っている団体で、通常の不動産賃貸契約とは異なり、同居家族としてのホームシェアリング契約を交わして、共同生活をするスタイルが提唱されている。
具体的な仕組みは、自宅に余った部屋のある単身高齢者が「ハウスホルダー」として登録をすると、住む場所を探している単身の若者(ホームシェアラー)とのマッチングを、相性の合うパートナーが見つかるまで行う。ホームシェアラーに家賃は請求されないが、週に10~20時間はハウスホルダー(高齢者)の生活支援(一緒に食事をすることや家事の手伝い等)が行えることと、ほとんどの夜は在宅で過ごせることが条件になっている。
他人と同居生活をする中では、様々なトラブルが起きることも想定されるため、Two Generationsは、ホームシェアラーの人物審査、ホームシェアリング契約の締結、苦情の対応、相性が合わなかった時の同居解消手続きまでを、すべて代行する。ホームシェアリングの契約は、1ヶ月の試用期間を含めて6ヶ月単位で行われ、同居人との相性が合えば、契約が更新されていく。
このサービスは営利で行われており、ハウスホルダーからは月額99ポンド(約1.6万円)、ホームシェアラーからは月額249~299ポンド(約4~4.7万円)の管理手数料を徴収する収益構造になっている。ハウスホルダーとホームシェアラーとの間で家賃のやり取りが無いのは、賃貸契約を結ぶことにより権利が複雑になることを防ぐ理由もある。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・高齢者住宅の需要に対するトレンド変化
・賃貸アパートの優良顧客となる高齢者入居の利点
・住宅セーフティネットを活用した高齢者賃貸ビジネス
・高齢者シェアハウスの運営モデル
・高齢者入居リスクへの対策と関連サービス
・高齢者に対応した家賃保証サービス
・若者と高齢者による異世代ホームシェア
・異世代ホームシェア仲介のビジネスモデル
・インフレ対策としてのマイホーム計画と中古住宅再生
・長生きリスクを軽減する長寿投資スキームの仕組み
・孤独社会で求められる単身者の入院身元保証人サービス
・高齢者をテクノロジーで支えるエイジテック企業の価値
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2022.5.11
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