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米国部活動のトライアウト対策とコーチ仲介ビジネス

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JNEWS会員配信日 2022/6/21

 スポーツに打ち込む少年と保護者にとっては、来シーズンの部活トライアウトに合格することが大きな課題であり、プレッシャーでもあることから、米国ではトライアウト対策のレッスンサービスが大きな市場となっている。

一般的な方法は、有名コーチが主催するスクーリングに参加することで、夏休みには各地でレッスン目的のサマーキャンプも開催されている。米フロリダ州にある「IMG Academy」は、有名アスリートを多数輩出しているスポーツマネジメント会社のIMGが、中高生向けに設立したスポーツ予備校で、450エーカー(180ヘクタール)の土地に、ゴルフ、テニス、バスケットボールなど種目別の専用施設を作り、プロのコーチが3日間から5週間にわたり指導する合宿プログラムを実施している。料金は、高校生向け3日間のコースが1500~2500ドルと高額だが、全米からの参加者がある。

米国の大学入試には「アスリート枠」と呼ばれるスポーツ推薦枠が、定員全体の1割近くあり、そこでもトライアウトによる実技審査が行われている。そのため、アスリート枠を狙う高校生にとっては、優れたコーチの指導を受けることが入試対策になっている。

IMG Academy
■施設の紹介映像

企業チームなどで活動する現役アスリートにとっても、トライアウト合格を目的とした中高生向けの指導は、新たな収入源になっている。最近では、レッスン生の集客がオンラインからしやすくなっているためだ。

2011年にマサチューセッツ州ボストンで創業した「Coachup」は、野球、バスケットボール、サッカー、テニス、水泳など30以上の種目で、個別指導を受けたい生徒と、プライベートコーチとのマッチングをする事業を展開している。Coachupには、各種目の現役アスリートを含めたコーチ人材が12,000人以上登録されており、種目、居住地、指導レベルなどの条件で検索して、希望に合うコーチを見つけることができる。

料金プランは「1回の練習時間×セッション回数」によって設定されており、たとえば、1回1時間、5回のセッションで合計300ドルという料金がコーチのプロフィール画面に掲載されている。この料金はコーチが自由に決められるが、1時間あたりの単価は平均45ドルで、時間40~60ドルの設定が多い。さらに効率的に稼ぎたいコーチに対しては、2~4人のグループレッスンにして、人あたりの指導料を割引するプランを用意することが推奨されている。

Coachupは、登録されているコーチ人材すべての身元調査(過去の刑事罰と性犯罪歴)を行っており、練習中に起きた事故や怪我に対しても、最大100万ドルまでが賠償される保険がセットされている。

一方、コーチ人材に対する課金は、新規登録時の身元調査料として49.99ドル、調査の更新料として毎年9.99ドルの年会費を徴収する。さらに生徒とコーチのマッチングが成立した際の仲介料金には2種類がある。1つは新規の生徒から予約が入った際の紹介料として24.99ドルが徴収される。この料金は、同じ生徒が2回目以降の予約をした場合にはかからない。

2つ目は、レッスンのセッション毎に徴収される手数料だが、こちらはセッション回数に応じて1回目43%、2回目28%、3回目18%、4回目13%、5回目以降は6%と下がっていくレートが導入されている。そのためコーチ人材は、1回限定のレッスンよりも、セッション回数ができるだけ多いレッスンプランを作成するほうが収益性は高くなる。この手数料体系には、コーチとレッスン生との関係が長期化することを促進する狙いがある。

《レッスン報酬の具体例》

Coachup

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