コロナ禍で成長するギグワーカーのオンデマンド派遣業
米国では、アルバイト、パートタイムで働く人が労働者全体の22%と、日本(約37%)よりも低いが、一方で、個人請負の立場でスタッフ採用される割合が高い。それらすべてを含めた非正規の労働力は、「コンティンジェント・ワーカー(contingent worker)」としてグループ分けされ、労働市場全体で4割近くを占めるようになっている。contingentには、不確実や偶発的の意味がある。
コロナ禍では、ホテルや飲食店舗で働いていた大量のパート、アルバイト人材が職を失った一方で、食品スーパーやデリバリーなど、一部の業界で深刻な人手不足が生じたことから、ギグワーカーの労働単価が上昇する事態が起きた。その仲介役として成長しているのが「Wonolo(ウォノロ)」というギグワーカーのオンデマンド派遣サービスで、米国内で30万人以上のワーカーが登録している。
Wonoloは、2014年にコカコーラの元社員がスピンオフする形で立ち上げられたスタートアップ企業である。コカコーラ社でブランドマネージャーとして10年以上の経験を持つ創業者は、コカコーラ社内でも、全米各地の物流拠点で在庫管理や商品補充に必要な人材確保に悩みを抱えていたことから、仕事の繁閑差に応じて柔軟に人材募集ができるギグワーカーの求人サイトを考案した。
Wonoloが、UberやInstacartなどのプラットフォームと異なるのは、他の企業にもギグワーカー募集の窓口を提供して、オンデマンド派遣業の形態にしたことである。「Wonolo」の語源は、Work Now Locally(個人にローカルな仕事を提供すること)を意味している。
Wonoloの求人アプリ上では、アパレル店舗、スポーツ用品店、イベント会社、ドライブイン、物流倉庫など多様な仕事案件が投稿されており、ギグワーカーは希望の日時を予約して時間単位で働くことができる。Wonoloへの登録は、米国在住の18歳以上であれば誰でも可能で、最初に社会保障番号の登録をして、犯罪歴などの身分調査にパスした後、写真とプロフィールの入力をすることで完了する。
その後は個々の求人企業に履歴書を提出したり、面接を受けたりする必要はない。
アプリには多様な仕事案件が掲載されているため、説明文を読んで自分の適性、働きたい日時、場所に合う仕事を探してエントリーすることで予約は完了する。
当日は決められた時間に出勤して、指示された仕事を完了すると、5日以内に会社側からパフォーマンスが評価されて、指定の報酬を得ることができる。このパフォーマンス評価が、ギグワーカーにとっての実績となり、高評価を重ねていくと、優先チームのリストに登録されて、同じ会社の仕事案件が他のメンバーよりも1時間早く通知されるようになる。
逆に、無断欠勤や出勤時間に遅れた場合には違反ポイントが発生して、30日間に3回の違反をすると、永続的に仕事が受注できなくなってしまう。自分からの仕事キャンセルは、出勤時間の12時間前までならば、アプリ上から行うことができ、この場合は違反ポイントの対象にはならない。
アルバイトの働き方と比較すると、会社側が決めたシフトに従って勤務する必要は無く、自分に都合の良いスケジュールで、希望の職場に出勤することができるため、副業をしたい現役サラリーマンの登録も増えている。
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