米国ではドライブスルー方式による駐車場での販売手法が「Curbside Pickup(カーブサイド・ピックアップ)」と呼ばれ、スマートフォンによるモバイルショッピングと連携し始めている。JNEWSについてトップページ
ドライブスルーを進化させたカーブサイドピックアップ

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JNEWS会員配信日 2020/8/8

 コロナ禍では、eコマース(通販)やデリバリー(宅配)の利用率が高まっているが、ドライブスルーはそれに次ぐ、第三の販路として注目されている。米国では、ドライブスルー方式による駐車場での販売手法が「Curbside Pickup(カーブサイド・ピックアップ)」と呼ばれ、スマートフォンによるモバイルショッピングと連携し始めている。

Curbside(カーブサイド)とは、道路の縁石を意味する言葉で、オンラインで事前注文をした後、店舗の駐車場まで取りに行くと、店のスタッフがピックアップ済みの商品を、車のトランクに積み込んでくれるサービスである。

米国大手のスーパーチェーン、ウォルマートでは、米国内の2000店舗以上でカーブサイド・ピックアップサービスを提供している、顧客は、自宅のPCやスマホアプリから生鮮品や日用品などのオンライン注文を、来店の4時間以上前に済ませると、来店しても店舗内に入る必要は無く、駐車場でピックアップ済みの商品を受け取ることができる。

このサービスは「Walmart Grocery Pickup」として、2015年頃から一部のウォルマート店舗からスタートしたものだが、コロナ禍では、売上の3割近くをオンライン注文が占めるようになり、駐車場受け取りの利用者が急増している。それに伴い、ピックアップ対応の店舗を2020年末までには3000店に増やす計画だ。

Free Grocery Pickup at Walmart
■Walmartピックアップの紹介映像

カーブサイド・ピックアップの採算は、顧客に代わって店のスタッフが商品のピックアップをする分だけコストがかかる。ウォルマートでは、注文合計の最低価格を35ドルに設定して、従来よりも客単価を高めることで、ピックアップサービスの手数料を無料にしている。

一方、アマゾン傘下のホールフーズ店舗でも、カーブサイド・ピックアップ型の駐車場受け取りサービスを2018年から開始している。買い物1回あたりのピックアップ手数料は4.99ドルが基本だが、年間119ドルの会費を払うAmazon Primeのメンバーに対しては、無料で利用できる特典を与えている。

コロナ禍では、カーブサイド・ピックアップの利用者が殺到しているため、各店舗では、希望者にはウエイティングリストに登録してもらい、準備が整った時点で招待メールを送信する方式にしている。

Whole Foods Grocery Pickup

米国では、新型コロナの感染状況によっては、店舗内の営業規制がかけられることを想定して、大手のスーパーチェーンやコンビニが、駐車場での商品受け渡しを行えるカーブサイド・ピックアップの導入を急いでいる。

駐車場で商品の受け渡しをするドライブスルーの仕組みは古くからあるものだが、モバイルショッピングとの連携で進化させた「カーブサイド・ピックアップ」は、小売店舗の経営スタイルを変革していく可能性もある。これは、トヨタが「かんばん方式」によって部品調達から車体完成までのリードタイムを大幅に短縮して、収益性を向上させたことと似ている。

小売業者がカーブサイド・ピックアップを導入することの利点は、商品の購入を事前予約してもらえるため、無駄な店舗在庫を減らしたり、各時間帯のスタッフ人数を最適化しながら、客単価の向上やリピート注文を増やせることがある。

さらに次の段階では、顧客がスマートフォンから商品を注文して、受け取りに訪れる時間までに、取引業者に商品を納入してもらうサプライチェーン物流を構築することも可能になる。

《米国カーブサイド・ピックアップの仕組み》

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