ハイヒールを履かないプロフェッショナル女性の台頭
仕事中の服装がカジュアルに変化する中で、靴の業界にも大きな転換期が訪れている。特徴的なのは、コロナを転機としてハイヒールをローファーやスニーカーに履き替える女性が増えていることだ。その理由は、通勤のスタイルが自転車や徒歩に変わっていることや、リモートワークによってヒールを履かない生活に慣れてしまったことがあり、足の健康面からも、高いヒールが良くないことが、医師から指摘されるようになっている。
海外では、足のつま先から骨盤までの異常を診察する「ポダイアトリー(足科)」という診療科目が専門化されており、そこでも毎日履く靴と健康の関係が重要視されている。足科の治療が進んでいるオーストラリアの足病学会(PodiatryAssociation)が、2020年にオーストラリア国内で調査を行ったところ、コロナを転機として、ヒールが低い靴への履き替えや、自宅で裸足の生活に変えた人の約6割が足の痛みが軽減したと回答している。
■2020 Foot Health Survey(Australian Podiatry Association)
こうした調査結果からも、これからの靴は履いた時の快適性や足の負担を軽減する機能性が重視されて、男女共にカジュアルシューズのニーズが高まる。運動靴(スニーカー)との境界線も曖昧になっていくことが予測されている。
女性がハイヒールを履くことについては、航空会社、百貨店、ホテル、銀行など、多くの職場でドレスコードとして強要されてきた歴史がある。また、女性がプロフェッショナルと認められるには、ヒールは高いほうが良いという価値観もあった。しかし、その考えが間違いであるという研究結果も出てきている。
ノースカロライナ大学で、組織における人間の行動法則(組織行動学)を専門とするSreedhari Desai教授のチームは、さまざまな職場で女性がどのように評価されているのかを調べる研究の1つとして、ハイヒールを履く女性と、フラットな靴を履く女性との間で、職場での評価がどのように異なるかを調査した。その結果は、20代~50代の男女両方から、フラットな靴を履く女性のほうが有能という評価を得ている。特に、技術管理者のように「男性的」な職場ほど、ハイヒールを履く女性への偏見が強い。
これまで、働く女性にとってヒールの高い靴は、女性らしさを強調したり、自信を高めるパワードレッシング(女性管理職などが地位を誇示する服装)のツールとして愛用されてきたが、会社の組織構造やワークスタイルが変化していく中では、ハイヒール不要論が高まっている。
■Tracking the effects of high heels at work
靴の選び方に限らず、コロナを転機とした急速なワークスタイルの変化に伴い、ビジネスパーソン達は、どんな服装が仕事の効率を高め、かつ自分の評価も高めることに役立つのかに悩んでおり、通勤とテレワークの両方に適応しなくてはいけない女性は、新たなファッション指針となる新興ブランドを求めている。
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