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シニア専門コワーキング施設の運営モデルと収益構造

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JNEWS会員配信日 2020/11/15

 いまや日本では、平日の図書館やスポーツジムなどはシニアの利用者が大半を占めている。しかし、彼らすべてが余暇を満喫しているわけではなく、できることなら、何らかの仕事に関われる居場所が欲しいと考えている。総務省が行った調査によると、65~69歳の就業率は2018年の時点で、男性57.2%、女性34.6%となっており、10年前と比較すると10%近く上昇している。一方で、「仕事はしたくない」と考える人も4割近くおり、高齢者の就労意欲は2極分化している。

《高齢者の就業率推移(65~69歳)》

高齢者の働き方として、雇用される立場が55%、その中でパート・アルバイトなど非正規社員としての就労形態が8割近くを占めている。これは、彼らが希望する働き方として「自分の都合のよい時間に働きたい」という回答が最多であることともリンクしている。

しかし、若い上司と働くアルバイトの仕事はストレスがあり、体力的にも厳しい反面、収入はそれほど多くないことから、自営業者や会社経営をして、自分に都合の良いワークスタイルを築くのが理想である。その点では、60代以降のシニア層向け起業支援サービスへの潜在ニーズも高い。

【シニア向けコワーキング施設の開発】

 フリーランスや起業者が集えるコワーキング施設を、シニア向けに専門特化した事業が、米国では立ち上がっている。2004年に設立された「Older AdultsTechnology Service(OATS)」は、60歳以上のシニアを対象として、起業に役立つデジタルのテクノロジーを指導する非営利団体で、Senior Planet(シニアプラネット)というコワーキング施設を、ニューヨーク、テキサス、カリフォルニアなど6つの州にある165ヶ所で展開している。施設として利用されるのは、大半が行政から無償または安価な家賃で提供されている、地域の図書館や高齢者センターなどである。

Older Adults Technology Service(OATS)
Senior Planet

シニアプラネットの中では、友達を作り、スモールビジネスで収入を稼ぐことに関心のある60歳以上がメンバーとなり、SNSによる情報発信の方法、Googleアプリの使い方、VRコンテンツの体験など、最新のデジタルツールを活用するための講座と、健康を維持するためのセミナーなどが開催されている。メンバーは、施設に出向いて各種の講座を受講することもできるし、在宅で参加できるオンラインコースも用意されている。

■Senior Planetの紹介映像

メンバーが目的としているのは、単にネットの知識を学ぶのではなく、自分のビジネスに活用することである。たとえば、手芸が得意な高齢者は、ハンドメイドで制作した服やアクセサリーなどを、手芸販売サイト「Etsy」に出品する手順や電子決済の導入方法、集客のためにInstagramでフォロアーを増やしていく方法など、具体的なビジネスで活用するための項目を学んだり、実践者からのアドバイスを受けたりすることができる。

ビジネスで収入を得ることが、参加へのモチベーションになっていることから、メンバー同士の交流も活発に行われて、仲間も作りやすい。シニアプラネットは非営利で運営されているため、メンバーに対して月額会費などは徴収していないが、同団体に対して、年に1回以上の寄付(金額は任意)と、ボランティア労働を行うことを、会員登録の条件としている。

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