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リモートワークに適応したオープン給与制度の構築方法

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JNEWS会員配信日 2021/1/8

 これまで日本の給与体系は、年次給、職能給、役職手当などによって算定されてきたが、リモートワークは、良い成果を出せる者と、そうでない者との差が開きやすい。そこで、従来よりも透明性の高い給与体系への見直しが求められるようになっている。会社が給与の算定基準を明確にすることで、リモート社員は自分の評価に対して疑心暗鬼にならず、仕事に取り組むことができるようになる。

給与の透明性を高めている事例として、米サンフランシスコを拠点に多国籍のリモート社員を採用してSNSマーケティングの分析機能を開発する「Buffer」という会社は、CEOを含めた全従業員(約80名)の給与データをWebサイトに公開している。各社員の年収は5万ドル~28万ドルまでの差があるが、給与の算定基準を明確に示すことで、逆に不公平感は低くなり、チームの信頼関係を深めることに成功している。

Buffer
Buffer社員の給与一覧表(Buffer Salaries 2000)

具体的な給与計算の項目としているのは、給与調査会社「PayScale」のデータに基づいた職種別の給与相場に、社内で独自に設定された役割係数、経験係数、住んでいる地域の生活費指数を乗数として掛け合わせたものになっている。そこに、扶養家族の数による家族手当や、勤続年数に応じて忠誠度の高い社員に対するロイヤルティ報酬などが加算される。

○給与=職種の基本給×役割係数×経験係数×生活費指数+家族手当他

この中で人材評価の基準となるのは、「役割係数(レベル1~8)」と「経験係数(ステップ1~4)」の項目で、両方の係数で数値を上げることで給与の算定額は高くなる。

一般的な会社の賃金制度は、係長、課長、部長といった役職が上がるほど昇給する仕組みだが、社内で上下関係を作る垂直型の組織は人間関係が殺伐となり、ポジションに空きがなければ昇給できないのが欠点である。一方、役割係数×経験係数で給与を算定する方式は、チームメイトの中で上司と部下の関係を作らない水平的な組織のまま、本人の努力によって給料を伸ばしていくことが可能になっている。

《役割係数と経験係数の関係》

また、リモートワークを主体とした働き方では、社員の居住地によって家賃や物価が異なるため、生活費の負担を均一化するための「生活費指数」を乗じているのも特徴である。Bufferの場合には、住んでいる地域の物価水準によって、年間給与に1倍、0.9倍、0.85倍、0.75倍の生活指数を乗じることで、生活費負担のバランスを取っている。

 このように透明性を重視した給与の算定方法は「Pay transparency」と呼ばれて、労働改革の柱としても注目されている。米国では、優秀な社員を引きつけて維持するには、給与体系の変革が不可欠と考えられており、昇給のルールを明確にして、社内のメンバーが皆、納得する給与の算定方法に改めていく必要が指摘されている。

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