オンラインゲームで仮想通貨を稼ぐことは「Play-to-earn」と呼ばれて、フィリピンなどの新興国では低賃金の労働よりも効率的な仕事として人気化している。 (JNEWSについてトップページ
仮想空間で生活費を稼ぐ労働者とPlay-to-earn経済

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JNEWS会員配信日 2021/11/12

 仮想空間で過ごすメタバースの世界では、デジタルで発行される様々なアイテムが売買される。その交換通貨として活用され始めているのが、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨である。既にメタバース空間では仮想通貨が稼げるようになっており、労働者の働き方にも変化が起きている。

ベトナムのスタートアップ企業が2018年にリリースした「Axie Infinity」は、仮想通貨(トークン)を活用したオンラインゲームで、公式マーケットプレイスにある「Axie(アクシー)」というモンスターを、防御力や攻撃力が異なる中から3体選び、仮想通貨のイーサリアムで購入して、対戦相手と闘っていく。対戦に勝てば、このゲームのみで発行される「Smooth Love Potion(SLP)」というトークンを稼ぐことができる。SLPは、仮想通貨取引所で売買ができるため、デジタル通貨としての価値がある。

また、SLPを使ってアクシーを繁殖させて、系列の遺伝子を引き継いだ子を増やしていくこともできる。たくさんのアクシーを持つほど、エネルギーの回復効率を高めることができるため、大量のSLP通貨を稼ぐことに役立つ。同ゲームのアクティブユーザー数はコロナ禍で急速に増えており、1日あたり185万人がプレイをしている。

ゲーム上で仮想通貨を稼いで生活していくことは「Play-to-earnエコノミー」と呼ばれ、新興国では、低賃金で働くよりも高収入を得られる方法として、オンラインゲームを本業とする人達が増えている。フィリピンでは、Axie Infinityを生活費稼ぎのためにプレイする人が増えており、フィリピン財務省はゲーム通貨に対する税金徴収を強化しはじめている。

フィリピンの平均月収は約2万ペソ(約5万円)の水準だが、Axie Infinityの上位プレイヤーは、1日あたり1,500SLPを稼ぐと言われ、これは現在の仮想通貨相場で約12,000円の価値になる。フィリピンでは若年層の失業率が高くて、失業者全体(約240万人)の中で、15歳~34歳までの割合が8割を占めており、高学歴者ほど就職先が見つからない状況になっている。そのため、国民の10人に1人が国外に出稼ぎに出ているが、メタバースの仮想空間には、出稼ぎよりも高収入を得られる道がある。

《フィリピンの失業者数(2019年)》

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