デジタル化されるコレクション資産の暗号テクノロジー
これまでのコレクションは、アナログで有形のアイテムであることが収集の条件になっていた。電子的な創作物は複製コピーが容易なため、資産としての価値を高めることが難しいためである。しかし最近では、著作権管理のテクノロジーが進化したことで、デジタル創作物に対してもコレクション投資の可能性が広がっている。
「Non-fungible token(NFT:非代替トークン)」は、デジタルで記録されたビデオ、写真、グラフィックなどの電子ファイルに、所有者の権利(所有権)を記録できるテクノロジーで、ブロックチェーンの暗号技術がベースになっている。
NFT付きのデジタルアート作品は、PCやタブレットのディスプレイ上で楽しむことができる他、印刷して鑑賞することもできる。「この作品を誰がいくらで購入したか」という履歴も、改ざん不可能な状態で記録されるため、現在のオーナーが二次的にダウンロードできる許諾を与えることでライセンス収入を稼いだり、次のオーナーに売却して値上がり益を得られる期待もある。
さらに、NFTには独自のプログラムを組み込むことも可能で、作品の転売が繰り返されていった場合には、所有権移転の度に作者に売買金額の一部が支払われる旨の契約条項を加えることもできる。
既に海外では、美術品オークションにNFTアートが出品されはじめて、高値で落札されている。Beeple (ピーブル)と名乗るデジタルアーティストが制作した「TheFirst 5,000 Days」という作品は、同氏が1日1枚ずつ13年間にわたり3Dツールで描いてきたイラスト(5000枚)を1枚の作品として繋ぎ合わせたもので、その日に起きた出来事や政治的な混乱を、抽象的に風刺するイメージで描かれている。
また、13年間の中で、デジタルアートの作画方法がどのように進化していったのかを探る、資料的な価値もある。
この作品は、2021年5月にクリスティーズに出品されて、100ドルからオンラインオークションがスタートしたが、2週間で33人が入札をして、最終的には6,930万ドル(約74億円)で落札されている。このオークション条件では、落札代金を暗号通貨のイーサリアムで決済することができ、落札者は暗号投資家とみられている。
■Beeple The First 5000 Days(Christie's)
従来のアナログ作品と比較した、NFTデジタルアートの利点は、所有権の管理が強固に行えるため、真贋鑑定の手間とコストを省いて作品の権利売買が円滑に行えるようになることや、火災や水害によって作品が被害を受けるリスクが無い。
またオンライン上のデータによる流通ができるため、希少性の高いNFTアートは、値下がりリスクの少ないデジタル通貨としても活用されていく可能性が示唆されている。
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