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中国で普及する後払い型ソーシャル医療保険の仕組み

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JNEWS会員配信日 2019/8/1

 通常の保険は、加入者が事前に保険金を掛けることで、事故や病気になった時の補償を受けられる。しかし、実際にどの程度の確率で保険請求があるかは、正確に予測できないため、あらかじめ高めの保険金を設定することにより、保険会社では損失が生じないようにしている。反対に、加入者は割高な保険料を払っていることになる。

この仕組みを根本的に変えて、後払い型のP2P保険として開発されたのが、中国のアリババグループが2018年10月に立ち上げた「相互宝(シャンフーバオ)」というサービスである。相互宝は、ガンや心筋梗塞を含む 100種類以上の重大疾病に対応した医療保険で、18~39歳までは最大で30万元(約470万円)、40~59歳は最大10万元(約158万円)までの補償を受けることができる。ただし、風邪などの軽症は適用外。

保険の加入条件は、糖尿病、心臓病、肝炎など重度の持病を抱えていないことだが、一般的な医療保険の条件よりもハードルは低い。また、芝麻信用スコア650以上の者だけを対象にしているのが特徴だ。

加入時に月々の保険料(固定額)は決められておらず、毎月2回(7日と21日)の間隔で、全加入者の中でトータルいくらの医療費が給付されたのかを集計して、各加入者が支払うべき、当月の分担金が決定される。分担金の支払いはアリペイによる電子決済で行われる仕組みだ。

《相互宝による後払い医療費分担システム》

このような後払い方式では、全体の医療費請求件数が増えるほど、加入者の分担金も青天井で増えているリスクがあるが、相互宝では各加入者が負担する上限を「医療費請求1件につき0.1元(約1.5円)」を超えないというルールに基づき、2019年の時点では年間188元(約3,000円)までと設定している。それ以上の超過分が発生した場合には、相互宝の運営側が負担することになっている。

一方、病気の当事者として医療費を請求する場合には、病院から交付される診療明細と領収書をオンラインで提出し、第三者機関が審査をした後に、支払いの可否が決定する。これらの診療データは匿名化されて、一般の加入者にも公開されるため、請求内容に怪しい点があれば、異議申し立てを行うこともできる。このように情報公開の透明性を高くする形で、医療費の無駄遣いや不正請求が共同監視される仕組みになっている。

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