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  通院による不妊治療には、プライバシーの問題があることから、米国では、在宅で行える不妊治療キットが新たな市場を形成している。商品によっては、医療保険の適用になるものもあり、自宅でも本格的な不妊治療ができるようになってきた。
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プライバシー配慮で成長する
在宅不妊治療ビジネス最前線
written in 2012/5/11

 米国では、10組におよそ1組のカップルが不妊に悩んでおり、全米では500〜600万人のカップルが「望んでも妊娠しない」不妊の状態にあるという。その中の9%は、何らかの不妊治療を受けているとみられるが、逆にいえば、不妊はデリケートな問題のため、悩んでいても病院での治療に躊躇しているカップルは相当数いることになる。

そこで、最新の治療法としては、これまでの人工授精や体外受精に加えて、もっと手軽に自宅で妊娠の成功率を高めるためのキットが販売されて、「在宅不妊治療」という新市場を形成しはじめている。2007年に、米国食品医薬局(FDA)から認可された「The Conception Kit(コンセプション・キット)」は、子宮内で精子と卵子が受精する確率を高められる自宅用キットで、多くの医療保険で適用対象となっており、20〜50ドルで購入することができる。



その他にも、自宅で利用できる様々な検査キットも販売されている。従来の排卵日チェッカーは、検尿検査を試験紙で読み取るものが中心だったが、最近では、デジタルで検査結果を管理できるものが登場している。

OvaCue」は、唾液の電解質濃度の変化を判定することにより、最長で7日前に排卵日を予測することができるモニターだ。測定の方法は、スプーンサイズのセンサーを毎朝5秒程度、舌のに乗せるだけでよい。毎日のデータはメモリーで自動管理されて、98.3%の確率で排卵日が予測できるという。価格は 249ドルだが、米国外での販売も意識されて、メニューの表示は、英語、スペイン語、中国語に対応している。


そして男性向けにも、精子の数を簡易測定できる検査キットが40ドル前後で販売されている。「SpermCheck Fertility Test for Men」は、自宅で精液のサンプルを採取したボトルの中へ検査薬を加えることで、卵子との受精に適した精子の数が足りているかを判定することができる。精液1ミリリットルに対して2000万個以上の精子があればポジティブ、それ以下ならネガティブという判定。

後者の場合には、病院で詳しい診断を受けるか、精子の数を増やすことに効果のある FDA認定のサプリメントを服用することが効果的とアドバイスされている。こうしたキット業者の中では、妊娠を促進するサプリメントも併せて販売しているケースが多い。


不妊治療に役立つキットを開発するメーカーは多数登場しているが、その集客や販路は、ほとんどがインターネット上になっている。不妊の悩みはプライバシーの領域であり、医師や薬剤師にもなかなか相談しにくいため、非対面で利用できる在宅キットへの潜在的なニーズは高いとみられている。

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この記事の核となる項目
 ●バイオロジカル・クロックとは何か?
 ●学生時代を出産好機と捉える米国の高学歴女性
 ●女子医学生のバイオロジカル・クロックを意識したキャリア形成
 ●自宅でできる不妊治療キットの潜在市場
 ●男性のプライバシーに配慮した顕微鏡検査キット
 ●自己経験からスタートした不妊治療ビジネスの起業
 ●他者からの精子提供を仲介する精子バンクの仕組み
 ●米国の卵子提供と代理母の紹介システムについて
 ●養子を迎えるという、もう一つの選択肢と方法
 ●個族社会における裕福層の正体と孤独を癒すサービス業
 ●常識の枠を超えて急拡大する家族仲介ビジネスへの需要
 ●多様化するライフスタイルで変化する遺産相続の損得勘定
 ●一人っ子家族の増加が崩壊を招く家計の収益構造と介護問題
 ●複雑な人間関係によって見直される家系図と新たな人脈ビジネス


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