産婦人科を受診して行われる不妊治療は心理的なプレッシャーが大きいことから、欧米では自宅でできる不妊治療のアプリやキットを開発する新興企業が急成長してきている。
スマートフォンで実行する不妊治療テクノロジーの開発市場

JNEWS会員配信日 2018/8/13

 人には相談しにくい婦人科系の健康対策に着目したテクノロジーを開発する事業は「Femtech(フェムテック)」と呼ばれており、その中でも不妊治療に関する潜在市場はかなり大きい。日米ともに、不妊に悩んでいる夫婦は6組に1組と言われており、女性側がリードする形で不妊治療に取り組むケースが多い。しかし、産婦人科を受診して行われる不妊治療は、心理的なプレッシャーやストレスも大きい。そこで、欧米ではセルフで行える不妊治療アプリの開発市場が伸びている。

ドイツのベルリンで2013年に創業したBioWink GmbH社が開発する「Clue」は、生理サイクルを予測できるモバイルアプリで、過去の生理日、出血量、生理痛の状況など記録していくことで、次の生理日やPMS(月経前症候群)の到来を把握することができる。基本的な機能は無料で使えるが、月額100円のアプリ内課金でプレミアム会員になると、前回までのトラッキングデータを利用したパーソナライズ分析が行われ、「妊娠しやすい日・しにくい日」を、より正確に予測通知できるようになる。このアプリは、15言語にローカライズされて世界で250万人に利用されている。

さらに、妊娠しやすい期間を正確に予測できるデバイスも開発されている。米コロラド州で2010年に創業したスタートアップ「Prima Temp」が商品化を進めているのは、基礎体温の詳しい分析から「妊娠しやすい日」を検出するデバイスで、シリコン製の検温リングを膣内に挿入すると、6分単位で体温を測定しはじめて、そのデータはスマートフォンに転送される。体温の微妙な変化から排卵が起きる前兆を捉えて、妊娠しやすいタイミングを本人とパートナーに対してアラート機能で知らせてくれるものである。

 不妊症は女性だけはなく、男性にも共通した問題で、米国生殖医療センターが世界のカップル(4850万組)を対象に行った研究によれば、カップル全体の15%が不妊症に該当している。不妊症の要因は50%が女性側にあるが、20~30%は男性側に要因があり、残りの20~30%は男性と女性の両方に関連した要因としている。これには地域差もあるが、北米では男性の因子が関与した不妊症の割合は50%とみられている。そこで、男性の主な不妊因子となる「精子の状態」をセルフチェックできる在宅キットの市場が世界的に広がっている。

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