医師に起きるフリーランス化の動きとQOMLの価値観
医師の働き方といえば、病院に勤務しているか、自分でクリニックを開業するのが一般的だが、最近では、そのどちらにも当てはまらない「フリーランスの医師」が増えてきている。勤務医の世界では、超過勤務が当たり前で、自分の健康を害してしまう人も少なくない。そうかといって、開業するには億単位の資金が必要になり、誰でも独立できるわけではない。
そこで、医師達の間に「QOML(quality of my life)」という考え方が浮上してきた。これは、人生や生活の質を重視した働き方を目指すもので、具体策として、超過勤務をすることが無く、開業による多額の借金も抱える必要が無い、フリーランス医師として活動することが、家庭と仕事を両立させたい医師を中心に広がっている。
フリーランスといっても、アルバイトで依頼を受けた病院に勤務するのが主流。つまりは、医師のフリーターというわけだが、彼らの時給は1万円前後というのが相場で、1日10時間の勤務なら10万円になる。月に10日間働くだけでも年収1千万円を超す計算だ。
ただし、フリーの医師を継続していくためには幾つかの課題がある。一つは、特定の所属先が無いために、最新の医療技術や知識を独力で身につけていく必要があること。もう一つは、アルバイトの職探しも自分で行わなくてはいけない点などだ。
それでも、フリー医師が、一般的なフリーターや派遣社員と異なるのは、常に最新の知識を入手できる学会組織や、出身大学からの人脈による勤務先の紹介ルートが存在していることである。“病院”という組織に所属しているか否かに関わらず、“個人”の立場で参加できるネットワークが形成されていることは、コワーキングに相当するものといえる。
フリー医師が増えていることは、女性の医師が増えていることと関係している。1965年に女性医師の割合は、医師全体の 9.3%であったのに対して、2008年には18.1%(5.1万人)にまで上昇している。これにより、家庭を大切にしたい女性のフリー医師が増加したことに加えて、男性医師の中でも「病院内で出世すること」に見切りを付けて、フリーとして独立する人達が出始めている。特に、外科手術をする際に不可欠な「麻酔医」については、空前の売り手市場になっており、フリーになることで勤務医の時代よりも、年収が2倍以上になることもある。
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