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公的報酬に群がる障害者ビジネスの問題点と海外動向

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JNEWS会員配信日 2023/9/20

 就労支援施設は、訓練等給付金が主な収入となるため、利用者(障害者)の数さえ集まれば毎月の経営は安定する。そのため異業種からの参入者も増えているが、その裏では、制度が悪用されやすい問題も指摘されている。

訓練等給付金は、利用者の通所回数によって点数が算定されるが、その通所回数が水増しされているケースや、スタッフの退職により人員の配置基準を満たせないまま給付金の請求し続けるケースなどが、各地で報告されている。

また、就労支援施設の8割を占めているB型事業所は、障害者と雇用契約を結ばずに、仕事の報酬として工賃を支払いながら職業訓練を行うが、工賃の平均単価は時給換算で150~200円と安すぎることも問題になっている。就労支援施設の収益構造は、主な収入となる訓練等給付金から、家賃、スタッフ人件費、障害者の工賃を支払った残りが利益になるため、工賃を引き上げようとする動機が働きにくい。

《就労支援施設B型の収支例(定員20名)》

就労支援施設を含めた障害者福祉サービスに支払われる給付金は、3年毎の報酬改定があり、利益率が高いサービス分野の報酬点数は段階的に切り下げられていく。そのため、現状では儲かる事業でも、その収益が長期的に続く保証は無く、公的報酬に頼らないビジネスモデルへ転換しなければ、生き残ることが難しい。
そもそも、障害者就労支援の福祉サービスが差別に繋がり、一般企業への就職機会を減らしているという、海外からの意見もある。

一方、米国では、障害者が仕事に就いている割合が日本よりも高い。米国労働統計局 (BLS) の調査によると、障害のある人の雇用率は年々上昇しており、2022年には21%、16~64歳の現役層でみれば34.8%と更に高い。

障害者の雇用率が上昇している要因としては、リモートワークとしても働ける仕事が増えていることが大きく、この傾向はコロナ禍以降に加速した。米国では、企業が障害を理由に人材選考を差別することが禁止されており、採用面接の際にも、障害があることを雇用主に開示する義務はない。そのため、障害者専用のリモートワーク職というのは存在しておらず、障害の有無を気にせずに働ける仕事環境の整備が進められている。

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