社会行動学から考察されるセルフオーダーの顧客特性
コロナ禍以降は、セルフオーダー端末を導入する飲食店が世界的に増えており高級レストランの中でもセルフサービス化は進むとみられている。背景にあるのが、接客スタッフの人材不足と時給単価の上昇だが、売上の面でも、スタッフが接客するよりも、セルフ端末のほうが向上することが実証されるようになっている。
米国のレストラン向けにセルフオーダー端末を開発する GRUBBRRによると、セルフ端末の導入費用は、初期費用として約2500ドル、ソフトウェアが月額200ドルかかるが、接客にかかっていた人件費を軽減できることに加えて、注文単価を引き上げることができる。
これは、顧客の注文内容や季節、天候条件などにより、端末画面上で追加メニューを推奨できるためだ。女性客は、スタッフに沢山の料理をオーダーするのは恥ずかしいという心理があるが、セルフ端末は好きな料理を自由に注文できるため、品目も増える傾向がある。
高品質の和牛と鶏肉を使った高級ハンバーガーチェーンの「BurgerFi」が試験的に GRUBBRRのセルフ端末を導入した結果では、店内注文数の75%は端末からのセルフオーダーとなり、店員が注文を受ける方式よりも注文単価が18~20%上昇した。端末からの注文内容に対して、ソフトウェアが追加の推奨メニューを表示させると(たとえばハンバーガーのみを注文する顧客に、健康的なサラダを勧める)、平均52%の顧客が注文品目を増やしている。
■GRUBBRR
■BurgerFiのセルフ端末導入例(映像)
店員の接客と比較したセルフオーダーの特性については、社会行動学としても興味深い研究がされている。
2014年に発表された論文によると、スウェーデンのアルコール販売業者が、対面注文をセルフ注文に変更したところ、発音が難しい商品の注文が8.4%増加した。
口頭による注文では、店員に間違いを訂正されたくないという心理から、普段から買い慣れている商品ばかりを購入する傾向があるが、セルフ注文では、そのストレスが無くなるため、注文される商品がロングテールに広がっていく。
この特性は、外国人旅行者を集客したい飲食店にとっても参考になるもので、言葉が通じにくい国では、デジタル端末によるセルフ注文ができる店の利用率が高くなる。
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