デリバリー型家電修理サービスの採算と参入視点
米国では消費者の「修理する権利」が認められるようになったことで、家電分野の修理サービスにも商機が見込まれている。修理技術を持つエンジニアにとっては、個人開業のチャンスが広がる他、ローカルビジネスの拠点を全国に広げていくことも可能になる。
米国の300都市以上で展開される「Mr.Appliance」は、家電製品の出張修理を専門とするフランチャイズチェーンで、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機などを主な修理対象としている。同社の料金体系は、依頼者の自宅を訪問して製品の故障箇所を特定するまでの診断料(40~60ドル)と、交換部品を手配して修理を完了させるまでの料金に分かれている。そのため、故障した冷蔵庫を診てもらい、修理代金の見積内容で修理をするか、買い換えるのかの判断をすることもできる。
Mr.Applianceのフランチャイズは、人口12.5万人以上の都市を1エリアとして個人開業者にフランチャイジー(加盟店)の権利を与えている。開業前には約10日間の技術トレーニングが行われ、そのカリキュラムを修了すると開業が許可される。開業にかかる費用は、FC加盟金、車両代、修理機材、トレーニング費用などを含めて約78,000ドル(約900万円)となっている。※不動産の取得費用は含まない。
■Mr.Appliance
■出張修理の紹介映像
Mr.Applianceの親会社は、住宅メンテナンス事業を総合的に行うことで、全米とカナダの各都市にサービス拠点を広げている「Neighborly」という会社で、電気工事、水道工事、ガラス修理、屋根修理、庭の清掃サービスなどの中小業者を買収した後、それぞれ独自のブランドに作り替えて、フランチャイズ方式で加盟店を増やしていくビジネスモデルを形成している。一般家庭の中では、故障した設備を直したいが、どこに頼んだらよいかわからない、というケースが多いため、大手業者として信用力高めて、多様な修理依頼に対応する形態は時流に合っている。
ただし、家電製品の修理は、出張訪問にかかるコスト+部品代+技術料が合算される形で料金が算定されため、消費者の予想よりも高くなってしまう見積もり提示も多く、コモディティ化された家電製品では、高い修理代を払って直すよりも、新品に買い換えたほうが得というケースも多い。そのため、修理業者はすべての家電製品に対応するよりも、所有者から「これだけはどうしても直したい」という製品に特化した修理サービスを展開するほうが、優良顧客を掴みやすい。
たとえば、システムキッチンにビルドインされるタイプの冷蔵庫や食器乾燥機はサイズやデザインの制約があるため、壊れても安易に買い換えることが難しく、修理で直したいというニーズが高い。米国家庭では、ビルドインタイプの大型冷蔵庫の人気が高く、価格も50~100万円以上するため、専門の修理ビジネスが成り立っている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・世界に広がる修理権法の波
・修理権法の制定を仕掛ける修理コミュニティの存在
・自動車業界におけるユーザー修理権利の動向
・モバイル自動車修理サービスの新業態
・出張家電修理サービスの参入視点
・特定家電製品に専門化した修理ビジネス
・コロナ禍で変わる医療機器のメンテナンス業界
・医療機器修理サービスの業界構造
・米国トラクター業界と農業経営者との攻防
・高騰する中古トラクター市場の特徴
・株式市場が牽引するカーボンニュートラル経済の特性
・脱炭素社会が向かう資源インフレで伸びるレアメタル回収
・従量課金で収益化するPay-per-Useビジネスモデルの参入点
・整備を起点とした自動車ディーラーの収益構造と参入点
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2021.11.28
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