前倒しされるGIGAスクール構想とGoogle主導の学校改革
日本国内で小中高校のオンライン化を推進することは、昨年の段階から既定路線として定まっていた。文部科学省では、義務教育を受ける小中学生に対して1人1台ずつの学習用PCと、校内の高速ネットワーク環境を整備する「GIGAスクール構想(Global and Innovation Gateway for All)」を、2019年度からの5ヶ年計画で行うことを打ち出している。奇しくもそこに、新型コロナの流行が起きたため、計画は前倒しで実行していくことが発表されている。
GIGAスクール構想の具体的な計画は、小中学校の校内全域で高速ネット回線が使えるLAN環境の構築と、児童生徒が学習するのに適したPCを1人1台ずつ整備すること、学習アプリや教務データ管理のクラウド化などが柱となっている。
これらの設備投資は、国から補助金を支給する形で行われるが、校内LANの整備については1校あたり400万円、学習用PCについては1台あたり4.5万円を助成する計画だ。全国には、公立と私立を合わせて2万1千校の小中学校と、960万人の児童生徒がいることから、このプロジェクトの事業規模は総額で5,000億円を超えるものになる。これはITC業界にとっての特需であり、ネットワーク設備やPCメーカーなどは、GIGAスクールの仕様に準拠した教育機関向けの製品パッケージをリリースしてきている。
■GIGAスクール構想について(文部科学省)
■GIGAスクール構想の解説映像(文部科学省)
日本のGIGAスクール市場でシェア獲得の鍵を握るのは、各学校が1人1台体制で調達するPC機種の選定とみられている。文科省では、GIGAスクールに準拠したPCのシステム要件を開示しているが、実際の候補としては「Windows PC」「iPad」「Chromebook」に絞り込まれている。
その中で、Windows版のPCは本体とソフトウエアの価格が高く、1台あたり4.5万円の補助金予算内で購入することが難しい。iPadはキーボードが標準装備されていないことが欠点で、宿題やレポートの提出までができる端末としては使い勝手が良くない。iPadにもオプションでキーボードを付けることができるが、GIGAスクールのシステム要件では、BluetoothのキーボードはNGとなっている。教室内で複数台の端末を使用する中で、Bluetooth接続は通信障害が起きる確率が高いためだ。
そこで、最終的な選択肢として「Chromebook(クロームブック)」が、学習用PCとして最も高いシェアを取るという見方が大勢を占めている。Chromeはグーグルが開発したChrome OS(無料)を採用したPCで、すべてのアプリとデータをクラウド上で管理するように設計されているため、PC本体のスペックは低く抑えることができ、市販価格の相場は3~4万円台となっている。教育機関が大量購入する場合には、さらに団体割引が適用されて、米国では1台あたり150ドル前後の見積金額が提示されている。
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