介護保険制度で生じる福祉用具レンタルの特殊商圏
高齢化社会の中で、介護分野には年間で約10兆円の巨大市場が形成されている。
その原資となっているのは、公的な介護保険制度であり、国や地方自治体の負担金と、40歳以上の国民が負担する介護保険料によって財源が確保されている。
介護業界に参入する上では、介護保険制度の仕組みや業界構造を理解することが重要で、その中に上手に入り込むことができれば、安定した収益を得ることが可能になる。中でも、在宅介護に必要な用具を貸し出す、福祉用具レンタルの分野には異業種からの参入がしやすく、地域の家具店が新規事業として手掛けるケースも増えている。
介護保険の給付対象となる福祉用具貸与は、品目のカテゴリーが決められているが、そこに該当する商品は、要介護認定を受けた高齢者の利用負担額(レンタル料)は1割で、残りの9割は介護報酬としてレンタル業者に支払われる。
《介護保険による福祉用具のレンタル品目》
○車イス
○特殊寝台(介護ベッド)
○床ずれ防止用具
○体位変換器
○手すり
○スロープ
○歩行器
○歩行補助つえ
○認知症老人徘徊感知機器
○移動用リフト
○自動排泄処理装置
福祉用具は身体状況の変化に応じて交換ができるように、購入ではなくレンタルで提供されるのが原則で、「用具メーカー→レンタル卸業者→レンタル業者」の流通経路が形成されているため、レンタル業者が直接的な在庫リスクを抱えることなく、安定した収益が得られるのが特徴である。
介護給付費実態調査によると、福祉用具の中でも利用率が高い、特殊寝台(介護ベッド)のレンタル料金は月額平均が10,619円に対して、レンタル卸業者からの仕入れ原価は4,023円。平均利用期間は17ヶ月となっているため、ベッド1台をレンタルすることで約11.2万円の粗利益が得られる計算だ。
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