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ユニコーン狩りで超短期リターンを狙うヘッジファンド

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JNEWS会員配信日 2022/8/11

 2021年は各国がコロナ対策としての歴史的な低金利政策を実施したため、スタートアップへの投資マネーも潤沢に流入した。しかし、2022年は金融政策が利上に転じたことで、再び資金繰りに苦しむようになっている。スタートアップの業況がジェットコースターのように乱高下しているのには、ベンチャーキャピタルの業界にヘッジファンドが参入してきたことも関係している。

本来のベンチャーキャピタルは、創業したてのスタートアップを長期的に支援して、株式上場(IPO)かM&A(バイアウト)による出口戦略(イグジット)に成功した段階で投資リターンを回収する収益構造になっている。イグジットの成功先が増えるほど、次の創業者を支援する資金が潤沢になり、スタートアップ育成の生態系は好転していく。

《スタートアップ育成の生態系》

しかしこのモデルの欠点は、スタートアップがイグジットを果たせる確率は低く、成功した事例でも数年から10年を超える年月がかかることである。そこで、IPOが確実視されているユニコーン企業に対して集中的な出資を行い、資産運用額を伸ばしていくヘッジファンド型のベンチャーキャピタルが台頭してきた。

2001年に米ニューヨークで設立された「Tiger Global Management(タイガーグローバル)」は、当初は上場株式に投資をするヘッジファンドとして活動していたが、2003年頃からは未上場企業への投資も行うようになり、2021年には世界で最大規模となる105億ドルをスタートアップに投資している。

《世界のスタートアップ投資額(2021年)》

タイガーグローバルの未上場企業に対する投資戦略は、IPOが確実視されている米国、中国、インドなどのテック系ユニコーン企業に対して、その時点の企業価値に対して約2倍の評価で出資を行い、上場後も株式を保有することで資産価値を3~5倍以上に増やしていくことを得意としている。

この方法は、他のベンチャーキャピタルが長年育ててきた会社に、資金力を武器にして後発で便乗する形になるため「ユニコーン狩り」とも言われるが、短期で運用資金をプラスにできるため、投資家からの資金を集めやすい。

しかし、上場直前に過大な評価で出資を行うため、株式市場の暴落が起きると、もともと高値水準で取引されていた株価が急降下してポートフォリオを大きく毀損するリスクを併せ持っている。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・スタートアップの生存可能期間
・バーンレートとランウェイの算定方法
・コロナ禍で変化するスタートアップ資金繰り
・2021~2022年に変化したデジタル投資トレンド
・スタートアップ狩りをするヘッジファンド
・2022年にスタートアップを襲う暴風雨
・暗号資産への投資スタンスについて
・インフレ局面に対応した値上げ戦略と競合の価格分析
・デジタル資産としての価値を高めるチケット市場
・暗号業界から浮上するWeb3.0ビジネスへの変革
・コロナ収束期に加速する新型インフレの特性と物価高騰

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