JNEWSについてトップページ
市民運動として広がる欧州リペアカフェとリサイクル工房

JNEWS
JNEWS会員配信日 2024/1/27

 欧州では市民運動としても、修理を依頼したい人と、修理技術を学びたい人達が集まるリアルコミュニティが増えており、それらは「リペアカフェ」と呼ばれている。その数は、オランダ、ベルギー、ドイツ、フランス、英国、米国など中心として世界で約3000ヶ所、修理ボランティアとして参加する人の数は約45,000人と推定されている。

英国イングランドの南東部、サセックス地区にある「Horsham Repair Cafe」は、地域の教会を会場として、毎週最終土曜日の午前10時~午後2時半までの時間帯で行われている人気のリペアフェで、掃除機、トースター、ヘアドライヤー、DVDプレーヤー、プリンター、衣類、自転車などの修理を行っている。修理を担当するのは、ボランティアとして参加する地域住民で、現役時代はエンジニアとして働いていたり、定年後に修理のスキルを学んだ高齢者が多い。

単純な修理は無料で行われるが、複雑な修理では5~10ポンド(約900~1800円)の寄付をすることがマナーとなっている。リペアカフェ開催日の会場は混雑するため、事前に壊れている症状を伝えて予約をする必要がある。

修理の事例として、ヘアドライヤーやスタンドライトの電源ケーブルが断線している症状は、簡単に修理することが可能だ。DVDプレーヤーのディスクが検出されない症状では、レンズの汚れが原因の場合はクリーニングで治るが、レーザー装置が故障している場合には、リペアカフェでの対応は難しい。

修理に交換部品が必要なケースでは、依頼人が部品を持参する必要があり、初回の訪問で故障箇所の診断をしてもらい、ネットで部品を購入した後、再訪問して修理をしてもらう流れとなる。ただし、スマートフォンの画面割れやバッテリー交換は依頼者が殺到するため、現在は対応していない。

Horsham Repair Cafe(HRC)
■HRC会場の紹介映像

リペアカフェはボランティア活動として行われるため、すべての修理依頼に対応できるわけではなく、修理の品質も保証されてはいない。それでも、修理の相談ができる窓口として地域住民から好評で、壊れた電気製品や芝刈り機などが、修理可能なものか、それとも買い換えが必要なのかの診断をしてもらえる場としても活用されている。

なお国によっては電気製品の修理を行うのに、電気関連の資格を取得する必要があり、そのトレーニングまでをリペアカフェが行い、認定修理士を育成しているケースもある。修理の専門技術を学びたい人にとっても、リペアカフェは最初の入り口として最適だ。

リペアカフェの修理レベルは、各会場で参加している修理ボランティアの技量によっても異なるが、それ以上に交換パーツの調達が可能か否かによっても変わってくる。従来のメーカーは、ユーザー修理に対してネガティブな態度を取ってきたが、消費者の「修理する権利(Right to repair)」が法律で守られるようになったことで、リペアカフェとの連携が、新たな信用構築ルートとして重要視されている。

この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
・修理性能のスコア化が義務化される欧州動向
・整備済みスマートフォンの再販ビジネス
・市民運動から広がるリペアカフェの運営モデル
・メーカーとリペアカフェの連携モデル
・社内リペアカフェによる修理人材育成
・廃棄プラスチックを再生する起業の方法
・国内修理ビジネス業界の問題と構造変革
・ハンディマン派遣のマーケットプレイス開発
・廃棄禁止法で変革されるアパレル業界のビジネスモデル
・古着の再販価値を高めるヴィンテージ再生製品の作り方
・eコマースと連携する自動車整備工場の新ビジネスモデル

この記事の完全レポート
JNEWS LETTER 2024.1.27
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ


(環境ビジネス事例)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)

これは正式会員向けJNEWS LETTER(2024年1月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。

JNEWS LETTER 2週間無料体験購読

配信先メールアドレス

※Gmail、Yahooメール、スマホアドレスの登録も可
無料体験の登録でJNEWS LETTER正式版のサンプルが届きます。
 
Page top icon