冷蔵庫内の食材を腐らせてしまわないための「冷蔵庫の賞味期限管理システム」は、フードロス対策ビジネスとして注目されている。デジタルで賞味期限管理をするアイデアが色々と試されているが、費用と効果の点から、できるだけ安価で行える方法が求められている。 (JNEWSについてトップページ
試行錯誤で開発される冷蔵庫の賞味期限管理システム

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JNEWS会員配信日 2020/9/2

 フードロスとして廃棄される食材は、家庭と食品業者でおよそ5割ずつの内訳だが、いずれも賞味期限の管理が曖昧になっていることで、食材の劣化を進めてしまうことが多い。この問題を解決することをテーマに、海外では数多くのスタートアップが参入しはじめている。その中には失敗例もあるが、製品開発のアイデアからは学べる点も多い。

米国シカゴのスタートアップが一般家庭向けに開発した「Ovie Smarterware」という食品管理のデバイスは、冷蔵庫に保存する食品をスマートタグ付きのタッパーに入れるか、タグ付きクリップを取り付けた後、AlexaやGoogle Homeのスマートスピーカーから食品の種別を音声で登録すると、AIが食材別の適正な保存期間を設定する。

スマートタグには、LEDリングが装着されており、冷蔵庫を開けると、賞味期限の長さによって、「青(新鮮)」「黄色(賞味期限が間近)「赤(賞味期限切れ)」のライトが点滅するため、どの食材から使っていけば良いのかを把握しやすい。

同じデータはスマホアプリでも管理できるため、スーパーで買い物中に、冷蔵庫内で賞味期限が近づいている食材をチェックして、その材料で料理可能なレシピを検索することもできる。しかし、このデバイスの問題は、冷蔵庫に保存する食品毎にBluetooth対応のスマートタグを用意しなくていけないことと、食品の種別を登録しなくてはいけない点にある。

Ovie Smarterware

一方、スマートタグを使わずに、冷蔵庫内の賞味期限管理を実現させようとするのが、IoT家電メーカーとして2013年に創業したSmarter社が開発し「FridgeCam」というデバイスだ。

こちらは、冷蔵庫内に取り付けるWi-Fi機能付きのカメラで、冷蔵庫を開ける都度、魚眼レンズによって食品在庫が広角で自動撮影される。その画像はスマホアプリに送信された後、食品名が自動認識されて、賞味期限が管理される。そのため、消費者は自分で食材の登録作業をしなくても、賞味期限が近づいた食材をアプリが通知してくれる。さらに、食品デリバリーサービスの「Amazon Fresh」や「Tesco」とも連携して、同じ食材をリピート注文できる機能も用意されている。

FridgeCamの価格は49ポンド(約6900円)で、ネット販売されている。ユーザーレビューでは、密閉された冷蔵庫内のデバイスからは、Wi-Fi電波が飛びにくいという問題が指摘されており、こちらも開発途上の製品だが、冷蔵庫への後付け型で、賞味期限の管理機能を提供するアイデアは参考になる。

FridgeCam
■デバイスの紹介映像(CES 2017の展示)

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