2024年有望ビジネスの着目点(社外活動の新ハッスル文化)
昨年は国内企業の8割が賃金引き上げを行った。ボーナスの上昇率でも春闘は平均で3.58%と30年ぶりの高水準となった。しかし、インフレによる物価高騰に賃金上昇は追いついておらず、デフレ時代のほうが生活は楽だったという声も聞かれる。労働政策研究・研修機構によると、物価の上昇分を加味した実質賃金の上昇率は、2023年6月の時点で0.2%と、ようやくマイナスがプラスに転じたところだ。
人手不足も深刻化しており、2023年の新卒有効求人倍率は、2.30倍にまで上昇して、1990年代のバブル期を上回っている。求職者にとっての売り手市場だが、給与条件が良ければ人材が集まるという時代では無くなっている。コロナ禍以降に世界で起きているのは、医療、介護、保育、物流、小売業など、社会インフラとして必要な労働者(エッセンシャルワーカー)の燃え尽き症候群が増えていることや、大企業で働く社員の中でも、昇進は目指さずに、最低限の業務だけをこなす人達が、若い世代を中心に増えていることだ。
彼らは「静かな退職者(Quiet Quitting)」と呼ばれており、社会的にも大きな影響力を持ち始めている。労働問題に詳しい米調査会社、ギャラップ社のレポートによると、世界の企業で働く従業員のうち、会社に満足しているのは3割弱に過ぎず、残りの6割は、同僚や上司との深い絆を感じることができず、ストレスを抱えながら最低限の仕事を続けているサイレント層である。
■State of the Global Workplace: 2023 Report(Gallup)
静かな退職者は、必ずしも無気力な層ではなく、会社以外の時間を自分のために有効活用する生き方へと向かっている。日本では、昭和から平成にかけては、会社に人生を捧げる生き方が常態化していたが、いまの時代は、リモートワーク、趣味を兼ねた副業、オンライン投資など、個人でも多様な経済活動ができるようになっている。
人生を90年として、サラリーマンとして精力的に働けるのは20~50代の30年程度しかない。定年延長がされても、ストレスを抱えた働き方を高齢になっても続けることが幸せとは言えず、人生をトータルでみた収益計画や資産形成を実行することが推奨されるようになってきた。
こうした生き方が実現できるようになった要因には、個人向けの収益プラットフォームが充実してきたことが関係している。サラリーマンを続けながらも、副業フリーランス、SNSインフルエンサー、ヤフオクやメルカリを利用した再販ビジネス、不動産大家など、自分の事業活動に時間を費やすことで、ストレスからの解放と経済的自立を獲得する成功者が増えている。
海外では、就職難や学生ローンに苦しむ若者が、給与収入だけでは裕福になれないことに気付き、それ以外の方法でお金を稼ぐことにチャレンジする「サイドハッスル(Side Hustle)」のムーブメントが起きているが、日本でも新たなハッスル文化は生まれ始めている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・好きなことでお金を稼ぐ新ハッスル文化
・投資ショッピングによる経済循環の仕組み
・新ライフスタイルの隠れた新富裕層ターゲット
・世代格差を消滅させる消齢化社会の特徴
・2024年株式市場の上昇要因について
・不動産投資と繋がる暗号通貨の関係
・リアル経済と結びつく暗号通貨の需要動向
・SNSから預金流出が引き起こす銀行破綻の構造
・静かな贅沢を楽しむステルス富裕層のライフスタイル
・インフレの裏側で保有資産を増やす米国世帯の特性
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2023.12.30
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