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飲食店が事業転換するゴーストレストラン業界構造

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JNEWS会員配信日 2023/10/31

 2023年の外食需要はコロナ前の水準に戻ってきているが、ロックダウン中に人気化したデリバリーサービスの飲食習慣も定着してきている。国内のフードデリバリー業界で46%のシェアを獲得している「出前館」の年間オーダー件数は2023年8月期は、前年よりも10%減少したが、2019年との比較では3倍に伸びている。

《出前館のオーダー数》

フードデリバリーサービスの利用者は、20~30代の単身者や共働きのファミリー層を中心に増えている。デリバリーを1度経験すると、利用者の25%は月に1回以上、75%は半年に1回以上の利用するようになり、外食と内食(家庭料理)の中間的な食習慣として定着しやすい特性がある。注文のリピート回数と注文単価が上昇するほど、デリバリーの採算性は向上するため、UberEatsや出前館は、現状の経営が赤字でも、積極的な先行投資を行うことで、全国へのシェア拡大を進めている。

一方、飲食店側では人手不足と人件費の高騰により、店舗での接客サービスを見直す動きが加速しており、昼と夜のいずれか、または両方の時間帯をデリバリー専門に業態転換する事業者も増えている。料理のデリバリーには配達手数料がかかるが、自前のスタッフを雇わなくても済むため、実店舗よりも高い利益率を狙うことができる。

《フードデリバリー専門店の経営モデル》

経済産業省の統計によると、中小飲食店(実店舗)の営業利益率は平均で7~8%だが、地方よりも首都圏のほうが利益率は低い結果となっている。これは、食材原価、人件費、家賃のすべてが大都市のほうが高いためだが、それらのコストはインフレにより更に上昇している。そこで、フードデリバリー専門店に転換すると、飲食スペースの広い店舗は必要なく、調理スタッフも最小限に抑えることができるため、やり方によっては20%超の営業利益率を目指すこともできる。

こうした考えから、飲食スペースを持たず、看板も出さずに、厨房設備のみで行うデリバリー専業店が「ゴーストレストラン(ゴーストキッチン)」として、日本でも流行ってきている。独立開業テーマの中で「飲食業」は常に人気の高い業種だが、ここ数年は実店舗ではなく、ゴーストレストランを目指す起業者も増えている。

ゴーストレストランは、コロナ禍の2020年頃から米国で普及し始めた業態だが、日本では数年遅れて流行してきた。ゴースト(店舗の実体が無い)であることは消費者には告知されていないため気付きにくいが、既に数千種類のデリバリーブランドがゴーストで運営されている。

この背景には、ゴーストレストランのフランチャイズチェーンが多数登場して、既存の飲食業者や新規の起業者に加盟を促す営業活動が積極的に展開されていることがある。しかし、急増するゴーストレストランには問題点もあり、その採算性や業界構造を理解した上で、今後の成長可能性を予測していくことが重要になる。

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