高級品とサブカルチャーとの境界線は曖昧になっており、老舗ブランドの中でも新分野の商材開発が必要になっている。 Gucciはザ・ノース・フェイスとの冒険をテーマにしたコラボレーションによるアウトドア・コレクションを、「ポケモンGO」に登場させている。(JNEWSについてトップページ
デジタル化されるニューラグジュアリー市場の方向性

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JNEWS会員配信日 2023/10/23

 日本では1億円以上の金融資産を持つ富裕層は全世帯のおよそ2%いるが、彼らすべての購買意欲が旺盛というわけではない。年齢別にみると、その8割は55歳以上の世代であり、衝動買いよりも貯蓄を好む層である。一方で、世代別にみた高級品の購買意欲が最も高いのは、Z世代とミレニアム世代にあたる20~40代前半の層であることは、世界で共通した特徴になっている。

世界の高級品市場を研究するアルタガンマ財団(イタリア)によると、ミレニアル世代とZ世代の高級品購入額は、2016年~2022年にかけて2倍に伸びており、2026年までには更に2倍の2100億ユーロ(約33兆円)相当に成長すると予測している。高級品購入のおよそ30%は、これら若年層が買い手となるため、彼らの購買特性や購入ルートを理解することが重要になる。

高級品に対する価値観は、時代と共に変化しており、自分の成功をアピールする自己顕示欲や、他人から賞賛されたい承認欲求とは異なるようになっている。このトレンドは、高級ブランド品市場の中では、「オールド・ラグジュアリー」から「ニューラグジュアリー」へのパラダイムシフトと捉えられており、ラグジュアリー市場の電子メディアである「Luxe Digital」では、具体的な変化の特徴を挙げている。

《高級品に対する価値観の変化》

The Future Of Luxury: 7 Trends To Stay Ahead In 2023(Luxe Digital)

ラグジュアリー市場の高級品とは、生活に必要ではないけれど、持つことで高い満足感が得られたり、モチベーションを高められたりする商品のことを指している。優れた品質や性能、職人技、希少性などに対して、顧客は付加価値を認めて、高価格であるほど購買意欲が高くなるのも特徴である。これは、価格の壁により、一般の人が体験、楽しむことができないことを、実現するところにも価値があるためだ。

このような買い物スタイルは、成功したインフルエンサーがりSNSに投稿することにより、一般の消費者にも憧れや追随の行動をするようになるが、20~30代の顧客は、従来の高級品として扱われてきた商品以外も興味を示しており、サブカルチャーとの境界線も曖昧になってきている。そこに向けては、老舗ブランドメーカーも新分野の商材開拓や、ビジネスモデルの転換が必要になっている。

たとえば、グッチは、アウトドアメーカーのザ・ノース・フェイスとの冒険をテーマにしたコラボレーション「THE NORTH FACE X GUCC」として商品開発したアウトドア・コレクションを、「ポケモンGO」のアバターアイテムとしてゲーム内に登場させて、世界で約100ヶ所の「Gucci Pin」という期間限定ストアで入手できるようにした。ブランドメーカーの新作はファッションショーで発表するという常識は古いものとなり、人気のゲーム内に登場させる手法は、他のブランドでも導入しはじめている。

■TheNorthFace x Gucci Campaign

ニューラグジュアリーのビジネスモデルは、リアルとオンラインを融合させた形で展開されおり、そこにWeb3のテクノロジーも組み合わせることで、コレクションアイテムの価値を高めていくことが模索されている。生活に不必要な高級品を売るという点では、ブランド企業の将来も安泰というわけではなく、ビジネスモデルの変革を進めなければ生き残ることが難しい。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・Z世代が好むニューラグジーの方向性
・高級品コネクテッド・コレクションの仕組み
・デジタル資産における実物保管業者の役割
・ロレックスが手掛ける公式再販ビジネス
・高級時計認定中古品とECビジネスの相性
・40歳未満で形成される中古高級市場の動向
・富裕層に広がる静かな贅沢トレンドとは
・オールドマネーとステルス富裕層の実像
・再販価値を高めるヴィンテージ再生製品の作り方
・高級品販路として見直される百貨店の外商ネットワーク
・デジタル資産で富を築く知財ビジネスの方向性

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JNEWS LETTER 2023.10.23
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