貨物バンから自転車配送に見直される物流転換トレンド
国内で配達される宅配便の年間取扱数は、10年前にはおよそ33億個だったが、2022年には50億個を超している。その95%以上は、トラックや貨物バンにより配達されているが、燃料費の高騰、ドライバー不足、環境負荷への対策などにより、運送業の経営状況は年々厳しくなっている。全日本トラック協会の調査によると、10台以上の車両を保有する運送業者の6割が赤字である。
さらに、トラックドライバーの時間外労働が制限される「2024年問題」では、ドライバーの増員、人件費の上昇が不可避となるため、運送会社の経営はさらに厳しくなることは間違いない。現状でも、運送経費の中でドライバー人件費の割合は4割を占めている。
ドライバーの不足問題については、軽自動車による副業ドライバーの活用が推進されている。軽自動車の持ち込みによるギグワークを行うには、軽貨物の専用車を購入しなくてはいけないことが、副業者のハードルになっているが、国土交通省は、2022年10月から「軽の乗用車」でも貨物運送ができるように規制を緩和を実施している。
ただし、運送で使用する軽乗用車には、軽貨物運送の届け出をして「黒ナンバー」を付ける必要があり、積載できる貨物量は、乗車定員数から乗車人数を控除した数に55を乗じた重量(kg)に制限されている。軽乗用車の定員は4名のため、ドライバー1人で配送をしても、貨物の最大積載量は165kgまでになる。
■貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について(国土交通省)
積載量が少なければ、1日に配達できる荷物量も少なく、燃料代を差し引いた実質収入も低くなることから、軽乗用車による配送は、逆に非効率になると、物流の現場では考えられている。
それよりも効率性の高さが注目されているのは、自転車による配送で、アマゾンフレックスでも、関東圏の一部地域から自転車配送を導入しはじめている。自転車による配達は、運送業の届け出が必要なく、誰でも簡単に仕事を始められる。
リアカーを牽引する場合は、120kgまでの積載が認められるため、電動自転車を使えば、軽自動車よりも効率的な配送を行うことも可能になる。
欧州では、荷物を運ぶために専用設計された自転車が「Cargo bikes(カーゴバイク)」として物流業界のイノベーションを起こし始めている。カーゴバイクは、環境負荷が少ない輸送手段として注目されていたが、最近は電動化が進んだことで、ビジネスとしての採算性も向上させることができ、貨物バンに代わるものとして、行政でも本格的な普及を推進し始めている。
(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
■JNEWS会員レポートの主な項目
・貨物バンの代替をするカーゴバイクの特徴
・検証されるカーゴバイクの経済性
・高性能化するカーゴバイクの開発動向
・カーゴバイクメーカーのビジネスモデル
・カーゴバイクオペレーターの事業形態
・カーゴバイク業界から起きるギグワーク変革
・見直されるカーゴバイクライダーの雇用体系
・サプライチェーン混乱でひっ迫する倉庫投資
・路線バス消滅によるオンデマンド交通の開発商機
・軽自動車と自転車を活用した副業者の運送業立ち上げ
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2023.9.4
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
(注目の新規事業)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)
これは正式会員向けJNEWS LETTER(2023年9月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。