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不正発覚で変革される自動車整備の業界構造と規制緩和

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JNEWS会員配信日 2023/8/26

 日本では、国の認定を受けた自動車整備工場が 9万1000件あり、その中で自社で車検までが行える指定工場は3万件で、残り6件は整備士が1人~数名の零細工場である。

業界団体の日整連によると、自動車整備の年間売上高は5兆7000億円だが、メーカー系のディーラーと、その他の整備工場が、およそ5割ずつの市場をシェアしている。年間に販売される自動車の6割が中古車であることからすると、新車ディーラー以外の整備工場の役割は重要である。

しかし、ディーラーの整備工場は27,340件に対して、他の整備工場は71,939件と多いため、1社あたりの収益では、○○モータースというような地域の整備工場は、経営が厳しい状況に陥っている。

《自動車整備工場の数と年間売上高》

日本では、国の認定を受けないと点検整備を行う工場を経営することはできないが、その要件は、「自動車整備士」の国家資格(1級または2級)を取得した整備主任者が1人以上、整備を行う人員の4分の1以上が3級以上の取得者であることが義務付けられている。この規定がハードルとなり、自動車整備の業界は慢性的な人材不足が生じている。

現状では、33.1万人の自動車整備士が働いているが、ディーラー以外の整備工場では平均年齢が51.2才と高齢化して、若い整備士が育っていない。これには、大きく2つの理由がある。1つは、整備士1人あたりの年間売上高は約1000万円で、平均年収は約370万円と低いため、収入面では夢が抱けない仕事になっていることだ。

《自動車整備士1人あたり年間売上》

2つ目は、自動車整備士の国家資格を取得することが、狭き道になっていることである。自動車整備士になるには、専門学校に2年間通学して2級を取得するか、整備工場に就職して1年間の実務経験を積んだ後に、国家試験を受験して3級、そして2級へステップアップしていく方法がある。実務経験とは、正社員としての勤務でなければいけないため、アルバイトで経験を積みながら整備士資格を取得することができない。そのため、社会人になった後に、異業種から自動車整備士に転職や起業することが難しい。

【規制緩和に向かう自動車整備業界】

これらの理由により、若い整備士が育たないことは、ハイテク化される車の整備に対応できる人材不足にも繋がり、ユーザーにとっても不利益になる。そのため国土交通省では、自動車整備士に関する法令の規制緩和を検討している。

具体的に検討されているのは、自動車整備学校にオンライン受講ができるコースを設けることである。現行の法律では、自動車整備士学校のオンライン授業は認められていないが、2020年にはコロナ禍の対策として暫定的に容認されて、およそ6割の専門学校が実施した。これを転機としてとして、自動車整備士育成の教育改革を進める動きが高まっている。

専門学校が行う二級自動車整備士養成のカリキュラムでは、学科600時間と、実技1200時間以上の教育を行う必要があり、すべてをオンライン化することはできないが、学科の一部をオンライン受講できるようにすることで、通学日数を減らせるため、フリーターや異業種の会社に勤めるサラリーマンでも、自動車整備士の転職を目指しやすくなる。

もう一つの課題である、自動車整備士の年収アップについては、フリーの整備士として独立開業をしやすくする方向性が模索されている。現在の自動車整備業は、工場設備の要件が厳しいため、資金力が無い個人の開業が難しい。しかし最近では、機械工具の小型化が進んでいるため、認証工場以外の場所でも作業ができる整備は増えている。また、交換部品の大半が、ネットで購入できるようになっていることから、フリーランス整備士として出張修理が行える規制緩和が求められている。既に海外では、自動車整備サービスのオンデマンド化が進んでおり、出張サービスによる業界変革がトレンドになっている。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・自動車整備士が人材不足になる要因
・規制緩和に向かう自動車整備業界
・米国で成長するオンデマンド整備サービス
・法人向けオンデマンド整備の需要開拓
・フリーランス整備士が変革する自動車整備業界
・規制緩和を求める日本の出張整備業界
・国内フリーランス整備士の就労状況
・修理権法で変革される製品メンテナンス市場
・IoT工具が実現させるリモートエンジニアの働き方
・整備を起点とした自動車ディーラーの収益構造

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JNEWS LETTER 2023.8.26
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