長期インターンシップで再編される就活ビジネス動向
2024年卒予定の大学生就活市場は、コロナ後の人手不足の傾向が顕著になったことで、企業の求人意欲は旺盛となり、リクルートの調査によると2023年7月の時点の就職内定率は83.2%と、絶好調なペースで進んでいる。
近年の企業の採用活動では、内定までの期間が早期化しているのが特徴で、大学3年生の夏に、実質的な採用活動となるインターンシップを実施して、早ければ3年生の冬頃に内々定を出している。
日本政府が企業団体に要請している採用ルールでは、採用の選考活動を開始するのは大学4年生の6月1日以降で、正式な内定通知を出せるのは10月1日以降になる。しかし、このルールは形骸化しており、大学3年生を対象に行われるサマーインターシップが実質的な就活スタートになる。
インターンシップは、実際の職場で就業体験をするためのプログラムだが、日本企業が実施するインターンシップは「1day仕事体験」と呼ばれる1日開催の簡易的なものが9割を占めている。しかも、コロナ禍では対面の活動ができなかったことから、オンライン開催する企業も多かった。学生は、これら1日限定のインターンシップに平均8~10社参加することで、各社の情報収集や採用担当者との関係を築いている。企業は、インターンシップで選考判断はしないルールだが、実際にはインターンシップ参加者の2~3割が早期内定を受けている。
しかし、たった1日のインターンシップは大した職場体験にはならず、就活解禁前の「会社説明会」に過ぎないことから見直される方向にあり、2025年卒生からは、5日以上の長期インターンに参加した学生に限定して、そこでの評価が内定に繋げられる就活ルールが変更される見通しだ。
5日間以上のインターンシップは、現状では全体の2%程度しか行われておらず、実施するとなれば、企業と学生の両方とっても負担が重いものになる。しかし、入社を真剣に考えている学生のみが集まるため、有益な人材獲得に繋がることが期待されている。
そもそも、企業が早期内定に走るのは、他社に学生を奪われたくないという焦りから生じている行動だが、お互いが相手のことを詳しく知らないことによるミスマッチが起きており、新卒入社から3年以内の離職率は平均で30%、業界によっては50%以上というのが実態だ。
日本の就職活動は、本質的には30年以上前から変わっておらず、景気の波によって「売り手市場」と「買い手市場」を繰り返しているが、自分に合わない会社に入社したことで、ストレスを抱えながら働いている人も少なくない。その点では、就職活動の変革を目指した、新たな就職支援サービスへの潜在需要は高い。
海外では、長期インターンシップの他にも、「見習い生」としての勤務をしながら、正社員登用される道筋が開拓されており、先進的な企業では大卒者に限定せずに有能な人材を獲得する仕組みが導入されている。
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