フードロス対策で成長する賞味期限切れ食品買取ビジネス
一般世帯が1ヶ月にかかる食費はコロナ前と比較すると、およそ1割近く上昇している。食費の負担は家族構成によっても異なるが、家計調査によると、子育て中の4人家族は月額平均で約9万円を食費に費やしている。これら30~40代の世帯は、家賃や住宅ローン、通信費、教育費など、他の生活費負担も重いことから、食費をできるだけ安く抑えたいという節約志向が進んでいる。
食費節約の具体的な行動は、外食を控える、生鮮品はスーパーのセールを狙うことは定番として、意外と支出が大きな菓子類や、レトルトなどの加工食品を安く買うための工夫もされるようになっている。これについては、賞味期限が短くなった「見切り商品」のまとめ買いが注目されている。
日本のスーパーで販売されるスナック菓子、カップ麺、缶詰、ペットボトル飲料などの加工食品には、メーカーが設定した賞味期間の3分の1以内に納品されて、3分の2が経過しても売れなければ、売り場から撤去、返品される慣例がある。
たとえば、賞味期限が6ヶ月のスナック菓子は、製造から4ヶ月経過しても売れなければ撤去されるため、消費者は賞味期限が1ヶ月以内に切迫した商品を購入することはない。
しかし、フードロス削減の風潮が高まってきたことで、賞味期限が短くなっていても、品質に問題が無ければ安価で販売することが、社会的に認知されるようになってきた。ただし、一般のスーパーで正規品と、賞味期限が切迫した商品を並べて売ることは、ブランド価値の毀損にもなるため、従来とは異なる二次流通ルートが形成されるようになっている。
そこで急成長してきたのが「食品買い取り」の業態である。賞味期限が経過しても品質の劣化が少ないレトルト食品、インスタント食品、ペットボトル飲料などを主な対象として大量ロットで買い取り、安価な食品を求めている団体や個人に対して再販する。その一部は、メルカリやヤフオクにも出品されており、通常は1個300円の高級レトルトカレーが12個セットで2500円、1個190円のカップ麺が20個セットで2000円、というように割引販売されている。
食品買い取りのニーズは、新型コロナの分類が「2類」から「5類」に移行したことにより、自治体が自宅療養者向け配食サービスとして大量に在庫していたインスタント食品を処分したい、ということでも増えている。まだ使える食材を廃棄することは、社会的に批判される風潮が高まっているため、「買い取り値」の条件よりも、賞味期限が経過する前に二次流通させることが優先事項になっている。
買い取りを専門とするビジネスは、車、貴金属、本、古着など様々な商材で普及しているが、それらの比較して、食品は賞味期限のタイムリミットがあるため扱いは難しいが、再販商品の販売ルートを安定的に確保できれば、利益率の高い商売になる。そのため、中小の食品買い取り業者が全国的に増えている他、ブックオフ(9278)や、中古厨房機器のテンボスなども食品買い取り事業に参入してきている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・国内の食品賞味期限ルールについて
・フードロス対策で成長する食品買い取り業
・食品買い取り業のビジネスモデル
・アウトレット食品の専門店開発
・米国で人気化するサルベージ食品とは
・サルベージ食品の流通経路について
・サルベージ食品のデリバリー事業
・過剰食品在庫の売買を仲介する商社の役割
・サルベージストアとフードバンクの違いについて
・顧客の行動心理に基づく飲食業界の動的価格導入
・廃棄食品の仲介をするフードバンク事業のビジネスモデル
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・JNEWS LETTER 2023.7.14
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