ECサイトに掲載されている商品を購入せずに、無在庫のまま海外サイトに転売する「無在庫セドリ」が高額の中古ギターなどを中心に広がりはじめている。その背後には、無在庫転売が自動化できるアプリが安価で販売されていることがある。(JNEWSについてトップページ)
自動化される中古ギターの無在庫セドリ

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JNEWS会員配信日 2023/6/20

  ビジネスはできるだけ効率化さていくことが理想であり、その究極型といえるは自動で商品が売れる仕組みを作ることである。20年前には、eコマースは無人販売が可能なツールとして期待されたが、実際にはサイトの構築、商品情報の掲載と追加、顧客対応などで手間のかかる事業であることを痛感して、撤退した小売業者も少なくない。

しかし、近年になって再び、自動販売にチャレンジする個人事業者が増えてきている。その背景にあるのは、AmazonやebayなどECプラットフォーム上の機能が定型化されて、商品の出品、在庫管理、競合調査などを自動化できるプログラムが安価で普及してきたことがある。

そこで新たな問題として浮上してきたのが、無在庫セドリ(無在庫転売)の仕組みである。従来のセドリは、安いショップから購入した商品を、ヤフオクやメルカリなどに出品して転売差益を稼ぐものだが、手持ちの在庫が必要なため資金が必要なことと、売れなければ不良在庫になってしまうリスクがある。そこで、ECサイトに掲載されている商品の写真と説明文を無断で借用して、転売先のサイトに掲載した後、注文が入った後に商品を購入して発送する、無在庫セドリの仕組みが流行り始めている。

少額の商品では大した利益にはならないが、高額の商品を海外に転売すると、注文1件につき数万円~10万円以上の差益を狙うこともできる。たとえば、日本製の古いギターは海外で人気が高まっているため、国内の楽器販売サイト「デジマート」に掲載されているギター(20万円)を、海外の楽器販売マーケットプレイスの Reverb.comに2000ドルで無在庫セドリすると、販売手数料を差し引いても、
約5万円の転売差益を得ることができる。



無在庫セドリでは、商品の仕入れサイトと販売サイトの両方を常時チェックして、仕入れ先の商品が在庫切れとなった場合は、すぐに販売サイトの商品掲載も削除しなくてはいけない。そのため、人手による運営は難しいが、専用のプログラムを導入すると、大半の作業を自動化することができる。

このような仕組みは、PC作業を自動化させるロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)のソフトウェアを活用したものだが、簡単に操作ができるツールをカスタマイズするフリーランスのエンジニアを、クラウドソーシングサイトの中で見つけられるようになっている。

他人の商品在庫を流用して転売利益を上乗せする行為は、大半のECプラットフォームが禁止しており、不正が発覚すればアカウント抹消の処分となるため、推奨できる方法ではない。ただし、EC業務を自動化させるプロセスについては、合法的なサービスの中でも導入が進んでおり、アマゾンマーケットプレイスでは7割近い出品者が販売業務の自動化に取り組んでいる。

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