AI社会への加速に向けた投資戦略と事業テーマ着眼点
ゴールドマンサックスが発表したレポートによると、生成型AIは今後の10年で世界のGDPを7%(約7兆ドル)押し上げて、生産性が1.5%を上昇させる可能性がある。その反面、米国にある職業の約3分の2が、AIによる自動化の影響を受けるようになり、これまで労働者が行ってきた仕事量の25~50%はAIに代わると予測している。
しかし、これが直接的な労働者の失業に繋がるわけではない。AIによる完全自動化ができる仕事は少なく、大半の職場では部分的にしかAIの影響を受けない。
そのため、AIの普及後には、人間が担当する新たな仕事や職業が生まれてくるという予測だ。歴史を遡れば、今ある仕事のおよそ6割は1940年以降に生まれた職業である。
■Generative AI could raise global GDP by 7%(Goldman sachs)
大規模言語モデル(LLM)による生成型AIは、テキスト情報として入手できる膨大な知識を機械学習させることで急成長している、その能力は、パラメータ数(言語モデルのサイズ)、データセットのサイズ、トレーニングに使用されるハードウェアの性能によって決まると言われている。
OpenAIのGPTシリーズとして、2018年にリリースしたGPT-1は1億1700万パラメータのサイズだったが、次にリリースされたGPT-2は15億パラメータ、GPT-3は1750億パラメータ、GPT-3.5は3550億パラメータ、そして2023年3月にリリースされたGPT-4の詳しい性能は公表されていないが、1兆パラメーターを超す規模に成長しているとみられる。
OpenAIの研究チームが発表した GPT-3開発の論文によると、1750億パラメーターの言語モデルをトレーニングするには、350GBを超すメモリーサイズと1200万ドルの計算コストがかかっている。さらにOpenAIの言語モデルは成長を続ける中で、トレーニングに必要なコンピューターのリソースは、3.4ヶ月毎に2倍に増えている。
大規模言語モデルを中心としたAI開発では、大量の高性能ハードウェアが必要になるが、その中心的デバイスとなるが GPU(Graphics Processing Unit)の存在である。そのため、AI開発市場の急成長で直接的な恩恵を受けやすいのは、GPUメーカーと言われている。
NVIDIAの株価は、2022年のハイテク不況により、ピーク時の303ドルから120ドルにまで下落したが、ChatGPTがリリースされた2022年11月以降は投資家から再注目されて、2023年5月末には400ドルに高騰して、時価総額1兆ドルを越してきた。
AIサービスの開発には莫大な資金がかかるため、AIサーバー環境への投資を行うインフラ企業と、ユニークなアイデアでアプリケーション開発をするスタートアップ企業との協業が行われている。AI分野のスタートアップ支援は、ハードウェア環境、技術協力、資金提供の3つがセットで行われるのが特徴である。
NVIDIAは、AIスタートアップの支援プログラムを実施しており、有望なAIサービスのアイデアを持つ起業チームに対して、NVIDIA GPUを搭載したサーバーをクラウドで利用できる環境や、技術面のサポート、ベンチャーキャピタルの紹介も行っている。その動向からは、これから登場するAIビジネスのトレンドを把握することができる
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