旅行スタイルの変化で需要拡大する一棟貸ホテルの開発
新型コロナの重症化リスクが下がったことで旅行者の数は着実に戻り始めている。JTBが集計した2022年末から2023年正月にかけての旅行者数は、前年比で117%の増加、コロナ前の2019/2020年末年始と比較しても7割近い回復となっている。ただし、海外旅行の割合は低く、コロナ前との比較では2割も戻っていない。
国内旅行者の6割は帰省を含めた家族旅行であり、公共の交通機関を使わずにマイカーやレンタカーによる移動が増えている。混雑する観光地は避けたり、観光スポットの訪問先を減らしたりする旅行者がまだ多い一方で、コロナ禍の旅行で特に配慮することは無いと考える旅行者も3割近く増えている。
海外旅行の回復が遅れているのは、航空運賃の値上がりや海外の物価高が大きく影響しており、2019年末は海外旅行の1人あたり平均費用は20.2万円だったのが、2022年末には26.0万円に上昇している。そのため、当面は国内を主体とした旅行やレジャー需要が続くとみられている。
そうした旅行スタイルが変化する中で、一棟貸し民泊物件への人気が高まっている。家族や仲間で一棟貸し物件を借りるのであれば、ホテルよりも宿泊料金を安価に抑えることができ、感染対策の面でも安全性が高い。最近では飲食店での飲み会に代わるものとして、Airbnbで一棟物件を借りた「エアビー飲み」も流行ってきている。
Airbnbの業績はコロナ禍でも世界的に好調で、2022年第3四半期の宿泊予約額は前年比31%増の156億ドル、純利益は46%増の12億ドルと過去最高の決算になっている。業績好調の要因は、パンデミック以降はレジャーとリモートワークの両方で、国内旅行の需要が各国で高まっており、1週間、1ヶ月、1シーズンと長期滞在の利用者が増えているためだ。Airbnbの発表によると、総宿泊数の20%は28泊以上の長期滞在者であり、逆に1泊のみの利用者は減少している。
日本では、ホテル・旅館を含めた宿泊サービスの中で、Airbnbのような民泊サービスのシェアは1%程度に過ぎないが、中長期の滞在に適した宿泊施設という点ではホテルよりも使い勝手が良く、新たな需要を開拓できる余地がある。さらに、2023年度中には、インバウンド旅行を回復させる目的で、民泊運営事業の規制緩和も行われる予定があることから、地方の空き家物件を民泊施設に再開発する事業にも商機が見込まれている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・自治体と連携した民泊物件の開発モデル
・長期滞在者向け宿泊料金の設定方法
・古民家を改装した町家ホテルの開発
・規制緩和される一棟貸しホテル事業
・旅館営業許可取得による古民家再生ホテル
・スタッフが常駐しない無人ホテルの経営スタイル
・地方移住者による農家民宿の起業モデル
・農業民宿の法的メリットについて
・農家民宿の経営実態と採算性の考え方
・ソロキャンパーを狙うアウトドアビジネスの開発視点
・ビジネス出張者をターゲットとした旅行業界の再構築
・仕事とリゾートを兼ねたワーケーションの休暇スタイル
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2023.1.10
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