クッキー消滅で変革されるネット集客マーケティング
オンラインでターゲットの顧客を集客したい時にはネット広告を活用するのが古くからの定番手法だが、直近で懸念されているのは、ネット広告には不可欠なクッキーが廃止されるという問題である。
ネット広告は、ユーザーが複数のサイトにアクセスした履歴をクッキー(cookie)と呼ばれるテキストファイルをPCやモバイル端末の中に保存することによって追跡している。そこから各ユーザーの趣味嗜好を分析して、美容に関心のあるユーザーには美容外科や化粧品の広告、投資に関心があるユーザーなら証券会社やFXの広告というように、ターゲットにマッチした広告を表示させることで、広告主のサイトに誘導する確率を高めている。
しかし、クッキーの使用についてはプライバシー保護の観点から世界的に規制の対象になっている。2018年には欧州連合が一般データ保護規則(GDPR)によって、ユーザー本人の同意無しに個人データを電子的に取得することが禁止された。その中には匿名のクッキー情報も含まれている。米カリフォルニア州、ブラジル、中国などでも同様の法規制を強化しており、日本でも2022年4月に個人情報保護法が改正された。
■改正個人情報保護法のポイント(日本)
クッキーの機能自体は、ユーザーのログイン記録を管理して、再ログインの際にID、パスワードの入力を省いたり、商品を注文する際のフォーム入力を自動化できたりする便利なものだが、クッキーを外部の広告ネットワークと連携させるようなマーケティングは、ユーザー本人の同意が無ければ難しくなる。たとえば、ECサイトとポータルサイトがクッキーを共有して、ユーザーが検討している商品の広告を、サイトを移動しても表示させるようなケースが該当する。
このように、ユーザーがアクセスしているサイトとは異なる外部のクッキー(サードパーティークッキー)によって、ユーザーの行動を追跡することは廃止される方向にある。ブラウザーのFirefoxは2019年6月、Safariは2020年3月にサードパーティークッキーをブロックする仕様にしており、ネット全体で6割超のシェアを獲得しているGoogle Chromeも2024年後半に仕様から外すことを発表している。
これは、広告収入やアフィリエイトを目的としたコンテンツ配信者にとっては、報酬単価が下がることを意味しており、今後は広告以外の収入源も確保していく必要がある。ただし、アマゾンや YouTubeのように、自社サイトの中だけで膨大なアクセスがあり、ユーザーの嗜好を独自に分析してパーソナライゼーションできる大手では、サードパーティークッキー廃止の影響は小さいとみられている。
一方、広告を掲載してきた企業の立場では、ネット広告が完全に使えなくなってしまうわけではないが、クッキーを使わずコンプライアンス的に問題なくターゲット広告が打てる媒体では、人気キーワードの単価が高騰して、費用対効果の面で採算が合わなくなることが予測されている。これを機会に、ネット広告以外で集客マーケティングを行おうとする企業が、海外では増えている。
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■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2022.9.6
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