路線バス消滅によるオンデマンド交通サービスの開発商機
日本全国には隈無く路線バスが走っており、通学や通勤、高齢者の移動にも欠かせない公共交通の手段になっている。しかし、地方部では次々とバス路線が廃止されており、交通インフラ崩壊の危機に陥っている。国土交通省の調査では、路線バス会社の7割は赤字経営となっており、国の補助金を受けても存続が難しい路線が増えている。
そこには大きく2つの理由がある。1つは路線バスの利用客は年々減少しており、1990年には年間で延べ65.0億人が利用していたのが、2018年には43.4億人にまで減少した。さらに2020年以降はコロナの影響により前年比で-50%の乗車率となり、壊滅的なダメージを受けている。
2つ目は、運転手の人材不足が深刻化していることがある。大型バスの運転に必要な第二種大型免許は、運転免許保有者(約8200万人)のうち、およそ1%にあたる84.7万人しか取得していない専門資格だが、平均年収は420万円前後で決して高くはない。バス会社にとっては燃料費の高騰もあって、運転手の昇給は難しく、新たな求職者が少ないのが実情だ。しかも、第二種大型免許保有者の6割は60歳以上の高齢層となっており、若者からは不人気の職業になっている。
燃料費と人件費の負担が重い路線バスの採算構造からみても、赤字路線からは撤退したい、というのがバス会社の本音である。現状では、全国にあるバス路線(約40万km)のうち、毎年3~5%にあたる1500~2000kmの路線が廃止されている。
しかし、路線バスは公共性の高い事業であることから、実際に路線を廃止するまでには自治体との協議が必要で、代替手段となる交通サービスを用意した上での実行になる。
具体的な代替手段としては、民間バス会社の独自経営に代わって、自治体がダイヤを大幅に削減した自主運行バスの運営を民間に委託することが主流になっている。ただしこの方式は、民間のバス会社に補助金を支給するよりも、公的資金の負担が重くなり、根本的な解決策にはなっていない。そのため、地方を中心として路線バスに代わる新交通サービスを開発することは、ローカル企業や交通系のベンチャー企業にとってのビジネスチャンスになっている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
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■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2022.5.27
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