2020年以降はリモートワークの普及に伴い、AGA治療(男性 型脱毛症)や育毛剤の市場が伸びている。ビデオ会議をする機会が増えて、画面上に写る自分の髪を気にする人がは潜在的に多く、関連ビジネスの売上も伸びている。(JNEWSについてトップページ
リモートワーク普及で成長する薄毛対策の市場構造

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JNEWS会員配信日 2021/10/18

 2020年以降は、外出に伴う消費者の支出は軒並み減少して、関連の業界は大きな打撃を受けた。通勤を含めた外出の回数が減少したことで、スーツ、化粧品、靴などの売上は減少した一方で、着実に業績を伸ばしている分野が1つある。それは、薄毛対策、育毛、かつらの業界である。これがどういう理由かというと、リモートでビデオ会議をする機会が増えたことで、画面上に写る自分の髪を気にする人が増えたことによるものとみられている。

かつら業界大手、アートネイチャー(7823)の業績は、パンデミックの初期段階では、店舗の休業や海外工場の生産がストップしたことで一時的に下落したが、2021年4~6月の売上は、前年同期比で75%増と急回復した。

《アートネイチャーの業績推移》

富士経済が2021年1月に発表した、スカルプ(頭皮)ケア・発毛剤の国内市場規模でも、一般用医薬品や医薬部外品として販売される関連商品の売上は、2020年は前年比で6.2%増の843億円となっている。市場拡大の要因は、コロナ禍におけるオンライン会議の増加で、モニター越しに自身の頭髪を意識する機会が増えたことで、毛髪ケアに対する需要が高まったと分析されている。販売チャンネル別にみても、2020年は店頭販売が全体の47%に対して、通信販売は53%と、対面と通販の割合が逆転している。

スカルプケア・発毛剤の国内市場規模(富士経済)

男性型脱毛症(AGA)の治療についても、2020年以降は伸びている。これはオンライン診療が可能になったことが大きい。コロナ禍では厚生労働省が、初診から継続的な治療までを完全非接触で行うオンライン診療を容認する通達を出しているが、対面では相談しにくい薄毛の悩みを抱えた患者から、オンライン診療の申し込みが急増した。

頭髪治療の専門クリニックを全国6都市で手掛ける「Dクリニック(東京都新宿)」では、2020年7月から完全非対面で行う独自のオンライン診療サービスを立ち上げたところ、オンラインの受診件数は前年比で300%の増加、グループ全体の売上も115%に伸びている。

《AGAオンライン診療の流れ》

Dクリニック

海外でも、コロナ以降は、脱毛の予防や対策への需要が高まっている。要因としては、新たな生活様式によるストレスの増加や、コロナ感染者の中で脱毛の後遺症に悩む人が増えたことが挙げられている。世界的に権威のある査読制の医学雑誌、The Lancet(ランセット)に掲載された研究によると、中国で入院したコロナ感染者の22%が、退院から6ヶ月後も続く後遺症として脱毛を訴えており、その割合は男性よりも女性のほうが高い。

6-month consequences of COVID-19 in patients discharged from hospital

そのため、ウイッグを作るための人毛が不足する事態も起きている。毛髪についての悩みは、他人に語ることは少なく、内面でコンプレックスを抱えている人が多いため、派手に注目される業界ではないものの、潜在的な市場規模は大きく、薄毛の悩みを抱えている層は若年化していることから、オンラインサービスとの相性が良く、個人で行える事業テーマも見つけやすい。

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