マイカーが何年乗られるのかを表す「車齢」は最近の20年で2倍以上に伸びている。10年10万キロを超した愛車に乗り続けるオーナーも増えており、古いクルマを安価でメンテナンスできるルートとして、中小の整備工場に新たなビジネスチャンスが訪れている(JNEWSについてトップページ
旧型マイカー市場に向けた自動車整備業界の変革

JNEWS
JNEWS会員配信日 2019/10/7

 マイカー所有の価値観が変化していることは各所で指摘されているが、地方都市では「車による移動」が生活インフラとして不可欠になっていることから、簡単に愛車を手放すわけにはいかない。その代わりに、これまでは5~7年サイクルでマイカーを買い換えていたのを、10年以上乗ろうとする人が増えている。

自動車検査登録情報協会(自検協)の統計でも、平成12年(2000年)当時の乗用車の平均車齢は5.84年だったのが、平成30年(2018年)には8.60年にまで伸びている。「車齢」とは、自動車が初度登録としてからの経過年を指しており、車齢が長いということは、マイカーの買い換えサイクルが長期化していることを意味する。これは事業用のトラックやバスについても共通した傾向である。

《自動車の平均車齢推移(国内)》

車齢が伸びている理由としては、「マイカーは新車でなくても構わない」という価値観の変化や、最近の車は故障が少なくなり、10年10万キロを超しても大きな不具合が生じなくなってきていること、旧車ブームによって古い車の価値が見直されるようになってきたことなどが挙げられる。

自動車に対する環境規制は年々強化されており、自動車メーカーはエンジン車から電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)への世代交代を進めている。しかし、ハイテク化された新型車は「個性や楽しさ」の面では魅力が薄く、車両価格も高くなっていることから、気に入った愛車に長く乗り続けたいと考えるオーナー層も、自動車業界は見逃すべきではない。

そして彼らの中では、愛車を維持していくのに、できるだけメンテナンス費用を下げたいというニーズがある。最近の車は、新車から3~5年はメーカー保証が付帯しているが、その期間が経過すると、急にメンテナンス費用が高くなる傾向がある。

特に輸入車の場合には、整備や修理をディーラー任せにするよりも、車の状態や症状に応じて、適切な業者に依頼をしたほうが、メンテナンス費用は大幅に安くなる。また、国内の自動車販売市場全体から、中古車のシェア率が上昇していることも、ディーラー系列以外での整備ニーズが高まっている要因といえる。

《乗用車販売台数の推移(新車・中古車)》

しかし、中古車販売店の経営自体は厳しさを増している。買取り専門店や中古車情報サイトの台頭により、消費者が中古車相場を把握しやすくなったことで、販売店は「販売価格-仕入値」の利幅が取りにくくなっているのが理由だ。昔ならば中古車1台あたりで30万円以上の利益が取れたのが、現在は20万円前後にまで下がっている状況で、相場よりも安く販売する業者では、最低限の納車手続きしか行っていない。

消費者にとって、中古車を安く購入できるのは良いいことだが、そうした車ほど購入後のメンテナンスを安心して任せられる業者探しには苦労する。一方、全国には約9万件の整備工場と、33万人のプロ整備士がいるが、新規顧客の獲得に苦労していることから、この業界構造を再編することも新たなビジネステーマになる。
今回のレポートでは、整備工場に起きている変革の動きと、フリーランス化していく整備士の動向について解説していきたい。

この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
・整備を起点とした自動車業界変革の方向性
・部品持ち込みによる自動車整備の潜在ニーズ
・eコマースと連携した整備工場の新たな集客ルート
・アマゾンが展開する自動車整備ビジネス
・変化する整備工場のビジネスモデル
・不足する整備士人材ビジネスの着眼点
・フリーランス化する整備士の動向
・フリーランス整備士向け仲介サービスの仕組み
・使用権と収益権を両立させるマイカー新オーナーシップ
・新車販売ビジネスの終焉と新サブスクリプションビジネス
・エンジンからEVへの動力革命で変化する消費者の価値観

この記事の完全レポート
JNEWS LETTER 2019.10.7
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ


(注目の新規事業)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)

これは正式会員向けJNEWS LETTER(2019年10月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。

JNEWS LETTER 2週間無料体験購読

配信先メールアドレス

※Gmail、Yahooメール、スマホアドレスの登録も可
無料体験の登録でJNEWS LETTER正式版のサンプルが届きます。
 
Page top icon