かかりつけ医不在層を狙うアマゾンクリニックの事業戦略
アマゾンは、2022年7月に、オンラインと対面を組み合わせた診療プラットフォームとして成長していた「One Medical(ワンメディカル)」を39億ドルで買収した。アマゾンクリニックは、この買収により更に便利なサービスに進化していくとみられている。
One Medicalが展開しているのは、年間199ドルの定額会費を払うと、オンライン診療を365日、24時間いつでも受診することができ、さらに対面で詳しい診察や治療ができる医療施設を全米12都市でチェーン化している。推奨されている活用方法は、持病の定期的な診療はオンラインで処方箋を更新してもらい、詳しい診察が必要な時にのみ事前予約をして通院するという受診スタイルで、患者は頻繁な通院で無駄な時間を費やすことが無くなる。
One Medicalの有料会員は、買収前の時点でも81万人以上を獲得しているが、これは8000社を超す企業が、従業員向けの福利厚生として法人契約をしているためだ。
米国では、コロナ禍以降の離職率が上昇しているが、それを食い止めるための福利厚生策として、医療サービスの充実は最も人気が高い。
アマゾンが狙っているのは、「プライマリケア(Primary care)」と呼ばれる、かかりつけ医の分野で、これまでは地域で個人開業するクリニックが担ってきた市場である。
米国も日本と同様で、気になる症状がある患者は、まず地域のクリニックに通院した後、重症の場合は専門医がいる病院を紹介される流れとなるが、近年では医療機器の高額化などで、クリニックの開業がしにくくなっている。一方で、患者は高齢化して、プライマリケアの需要は増えていくため、かかりつけ医は不足していくことが予測されている。この問題をテクノロジーで解決しながら、オンライン診療と対面診療を融合させた、新たなプライマリケアのスタイルを作ることがビジネスチャンスと捉えられている。
自分の体調を長年にわたり把握してくれて、健康に不安が生じた時には気軽に相談できる「かかりつけ医」の存在が居るのと居ないのでは、寿命にも差が生じてくる。しかし、かかりつけ医の不足は深刻化してきている。
米国医科大学協会の調査によると、2018年には、プライマリケア医(かかりつけ医)に14,900人の不足が生じていたが、2033年には最大で55,200人の不足になると予測している。米国の人口は2033年までに10.4%増加するが、その中でも65歳以上の人口は41.5%増加して、健康を気遣う高齢患者が増えるためだ。
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