広告収入から月額会費に移行するYouTubeの収益構造
これまでは広告が主な収入源だったYouTubeのプラットフォーム自体も、次の収益モデルとして有料会員の獲得に軸足を移しはじめている。2022年11月9日のYouTube公式ニュースでは、YouTube Music Premiumを含めたYouTube Premiumの有料会員数が8000万人を超したことが報告されている。2020年時点の会員数は3000万人だったことからすると、無料ユーザーから有料会員への移行ペースは速くなっている。現在では、YouTubeユーザーのおよそ1割が Premium会員として動画視聴の環境を進化させている。
■We hit 80 million?!(YouTube Official Blog)
YouTube Premiumの会員サービスは、約8000万曲の音楽とYouTubeの動画再生が広告非表示となり、コンテンツをダウンロードできるため、通勤や飛行機の中などネットに繋がっていないオフラインの環境でも視聴しやすくなる。YouTubePremiumの料金体系は通常プランが月額1180円、家族5人まで利用可能なファミリープランは月額2280円だが、広告表示のストレスから解放されるため、頻繁にYouTubeを利用するユーザーにとってはメリットがある。
一方で、動画投稿者に対する報酬は、YouTubeが プレミアム会員に対して課金する会費収入の45%が、各チャンネルの月間視聴時間に応じて分配される仕組みになっている。この方式は、動画のカテゴリーやシーズンによっても単価が変動する広告収入の分配よりも透明性が高く、クリエイターにとっても一定のメリットがあるとみられている。
反対に、デメリットとして考えられるのは、プレミアム会員向けの限定コンテンツが充実することで、個人のクリエイターは良質のドラマや映画作品とも競合する形で、総視聴時間数に対するシェア率を争わなくてはいけなくなる。既にYouTubeは、プレミアム会員向け限定コンテンツとして「YouTube Originals」の制作に着手しており、人気俳優が出演するオリジナル作品を公開しはじめている。
有料会員数の増加ペースに連動して、コンテンツのクオリティも上昇していくのは、NetflixやDisney+などの動画配信サービスに共通した特徴である。
ネット上のコンテンツ・プラットフォームが、広告型から有料会員型へと移行していくのは時代の潮流であり、月額課金できる会員数を増やしていくことが、今後の生き残り策として捉えられている。その背景には、個人情報の保護に関する規制が強化されて、広告掲載ができないコンテンツが増えていることがある。
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