定期運行ダイヤを作らないオンデマンドバスの開発モデル
路線バスの採算が厳しいのは、乗客が少ない状態でも毎日決まったダイヤで運行しなくてはいけないことに理由がある。そこで、路線ルートや時刻表を決めずに乗客の需要に応じた運行をするデマンド型交通サービスへの移行が各自治体で検討されている。
愛知県豊明市では、トヨタグループの部品メーカー、アイシン(7259)が考案・開発したオンデマンド交通サービス「チョイソコとよあけ」の運行を2021年4月から開始している。
このサービスは、65歳以上の高齢者や障害者を対象に、外出したい時に電話予約(当日の30分前まで)をすると、専用システムが複数利用者の目的地と到着時間を計算してオンデマンドバス(ハイエースなどのミニバン)に乗り合わせる形で、病院、スーパー、銀行、市役所、介護施設、カフェなどを停留所として送迎する仕組みになっている。運賃は1回200円で、タクシーよりもリーズナブルに利用することができる。
運賃が安いのは、停留所とする施設をエリアスポンサーとすることで、協賛金や広告料を収入の一部にしているためで、競馬場、公園、神社、資源ゴミ置き場、コンビニ、飲食店なども停留所に指定されている。オンデマンドバスは、毎回同じルートを走行しないため、乗客のニーズに応じて、狭い道路沿いでも各所に停留所を作りやすい。サービスに利用する車両は、軽自動車からミニバン、小型バスまで、利用客の数に応じて変更していくことも可能だ。
■チョイソコとよあけ
■チョイソコ利用紹介動画
チョイソコの運用にあたっては、豊明市が運営母体となり、アイシンが利用予約と運行ナビゲーションのシステムを提供する。車両の運行については、プロポーザル方式で地元事業者の公募がされて、名古屋市に本社のあるタクシー会社が受託している。受託業者は豊明市が所有する車両2台(8人乗りのミニバン)を使用して、予約の入った停留所間をナビゲーションが指定したルートで走行する。
アイシンでは、豊明市の他にも全国で25以上の自治体にチョイソコのシステムを提供している。チョイソコの運用母体となるのは市町村だけではなく、地域の民間業者やNPOが自治体と連携しながら行うことも可能だ。
東京都あきる野市では、トヨタ系のカーディーラーを展開するS&D多摩ホールディングスが事業主体者となり、自治体と協定を結ぶ形でチョイソコの実証実験が2022年3月から開始されている。チョイソコの運用にかかる初期費用は、システム導入や停留所看板の設置などで約385万円。継続的な費用として、車両リース代、車両運行と予約コールセンターの委託費、利用会員の会報誌作成などで、毎月およそ120万円という計画が作成されている。
■チョイソコ実証実験の開始(あきる野市)
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